宇留野義元

宇留野義元は、戦国時代の武将であり、常陸国部垂城主として知られています。佐竹氏の一族に生まれ、一時は宗家と激しい争いを繰り広げました。

生涯

永正7年（1510年）、常陸国の戦国大名である佐竹氏15代当主・佐竹義舜の子として誕生しました。宇留野氏は、佐竹氏13代当主・佐竹義俊の子である宇留野義公を祖とする佐竹氏の庶流にあたります。

義元は初め、宇留野義久（義公の次男）の養子となり宇留野氏を継ぎましたが、享禄2年（1529年）に突如として小貫俊通の部垂（へたれ）城を攻略し、部垂義元と名乗りました。佐竹氏の宿老である小貫氏を攻撃したことは、佐竹宗家の兄・義篤への挑発とみなされ、兄弟間の争いへと発展します。

当時の佐竹氏は、義篤が江戸氏と小田氏の争いに介入するなど、内憂外患の状態にありました。そのような状況下で天文4年（1535年）、高久義貞が義元に呼応して挙兵しますが、すぐに降伏。しかし、この機を逃さず義元も挙兵し、小瀬（現在の茨城県常陸大宮市）で戦いを繰り広げました。翌年には佐竹氏と和睦しますが、この和睦はすぐに破られ、天文7年（1538年）と翌天文8年（1539年）には部垂にて義篤と再び戦うことになります。

天文9年（1540年）、兄・義篤は前年から介入していた下野国那須氏の那須政資・高資父子の抗争から軍勢を撤退させる際、その帰路で突如部垂城を急襲しました。これは、義元の家臣・大賀外記が城の大手門の橋の普請に不満を持つ義元に罵倒されたことを恨み出奔し、義篤に城の普請は謀反の準備であると讒言したためと言われています。この時、城兵はわずか50名しかおらず、義元は与力した小場義実、養父・義久らと共に自刃し、部垂城は落城しました。嫡男・竹寿丸は逃げることに成功しますが、落城前に裏切った黒沢大学に捕えられ斬殺されました。この12年にも及ぶ兄弟の争いは、部垂の乱、または部垂十二年の乱と呼ばれています。

義元に与した長兄・今宮永義や小場氏、前小屋氏らは許され、佐竹宗家の重臣となりました。義元の家臣団は部垂衆として小場義忠の指揮下の小場寄騎衆に組み入れられ、慶長7年（1602年）に佐竹氏が出羽国へ国替えとなった後は、比内新田村・淀川村などを経て最終的には小場氏が城代を勤めた大館城下に移りました。なお、部垂衆は久保田藩主の家臣（大館給人）であり、小場氏（後の大館西家の佐竹氏）の家臣ではありませんでした。

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