大館城

大館城（桂城）の歴史と現在

大館城は、現在の秋田県大館市に位置していた日本の城で、別名として桂城（かつらじょう）とも呼ばれていました。現在、その跡地は桂城公園として整備され、市民に親しまれる憩いの場となっています。

歴史

大館城の歴史は、源頼朝の奥州征伐後にこの地を治めた浅利氏に遡ります。比内浅利氏が地頭職に任じられたのが始まりとされていますが、大館城自体の築城は天正10年（1582年）以前、浅利勝頼によるものと考えられています。

戦国時代、この地域は浅利氏、南部氏、秋田氏（安東氏）、津軽氏といった勢力が入り乱れる係争の地でした。浅利氏は勝頼の死後、浅利頼平が跡を継ぎますが、慶長3年（1598年）に頼平が急死し、浅利氏は断絶。その後、秋田氏（安東氏）がこの地の支配権を確立し、豊臣政権下において秋田氏の所領となりました。

関ヶ原の戦いの後、秋田氏は常陸国へ移封され、代わって常陸国から佐竹氏がこの地を治めることになります。佐竹氏は一国一城令の例外として大館城の存続を認め、佐竹西家を城代として配置しました。初代城代の小場義成は、城内に常陸国の若宮八幡宮の神霊を祀り、2代目城代の小場義易、4代目城代の佐竹義武が城の東に大館八幡神社を建立し、大館城の守護神としました。

しかし、戊辰戦争の際、南部氏の大軍が攻めてきたため、当時の城代であった佐竹義遵（佐竹大和）は自ら城に火を放ちました。これにより、大館城は堀などの一部の遺構を残して全焼してしまいます（大館城攻城戦）。焼け残った城門の一部は、現在、市内新町の民家に移築され現存していますが、どの門が移築されたものかは特定されていません。

桂城公園として

戊辰戦争で焼失した大館城の跡地は、その後、桂城公園として整備されました。公園内には、石積みや土塁、堀などの遺構が残り、往時の面影を偲ぶことができます。

城跡は明治7年（1874年）から昭和29年（1954年）まで中城学校の校地として利用され、地域の人々の教育の場としての役割も担ってきました。昭和30年（1955年）には桂城公園として整備され、市民の憩いの場として生まれ変わりました。

公園の周辺には、大館市役所や桜櫓館、市民体育館、武道館などが建ち並び、市民生活に密着したエリアとなっています。西側には国道7号が通り、桂城橋を通じて秋田犬会館と直接行き来できるようになっています。また、公園の北側は高台となっており、長木川や大館市街地を一望できる絶景スポットとなっています。

園内には、歌手・上原敏の顕彰碑が建立されており、毎年7月29日には、上原の慰霊祭である流転忌が開催されています。

歴代の久保田藩城代（佐竹西家）

初代：小場義成（慶長7年（1602年） - 寛永11年（1634年））
2代：小場義易（寛永11年（1634年） - 万治元年（1658年））
3代：佐竹義房（万治元年（1658年） - 貞享元年（1684年））
4代：佐竹義武（貞享元年（1684年） - 元禄9年（1693年））
5代：佐竹義方（元禄9年（1693年） - 宝永7年（1710年））
6代：佐竹義村（宝永7年（1710年） - 明和5年（1768年））
7代：佐竹義休（明和5年（1768年） - 寛政元年（1789年））
8代：佐竹義種（寛政元年（1789年） - 不明）
9代：佐竹義幹（不明 - 嘉永5年（1852年））
10代：佐竹義茂（嘉永5年（1852年） - 元治元年（1864年））
* 11代：佐竹義遵（元治元年（1864年） - 慶応4年（1868年））

大館城は、その歴史と美しい自然に囲まれた桂城公園として、今もなお多くの人々に愛され続けています。

もう一度検索