宇都宮孝平

宇都宮孝平：地方行政に尽力した官僚・政治家の生涯

宇都宮孝平（うつのみや こうへい、1897年5月6日 - 1988年5月18日）は、日本の内務官僚、政治家です。青森県知事、松山市長を歴任し、地方行政に大きな足跡を残しました。

生い立ちと初期のキャリア

1897年、愛媛県喜多郡内子町に生まれた宇都宮は、旧制松山中学（現在の愛媛県立松山東高等学校）を経て、旧制第七高等学校を卒業。その後、東京帝国大学法学部へ進学し、1923年に卒業しました。卒業後は内務省に入省し、内閣東北局長などを務め、東北地方の地域開発に尽力しました。

青森県知事時代

第二次世界大戦中の1943年、宇都宮は官選で青森県知事に就任します。しかし、翌1944年に依願免本官となり退官。戦後は公職追放を受け、一時的に井関農機株式会社の顧問となりました。

松山市長としての活躍

1963年、宇都宮は松山市長選挙に「市政刷新」を掲げて立候補します。当時、現職の黒田政一市長の高齢多選に対する批判が高まっており、宇都宮は井関の社員や労働組合の支援を受け、初当選を果たしました。

市長就任後、宇都宮は黒田市長の工業化路線を継承しつつ、市民会館を松山城の堀之内に建設するなど、都市のインフラ整備を進めました。しかし、市民会館建設を巡る汚職事件が発生し、市議会は自主解散に追い込まれる事態となりました。1967年の市長選では、再び黒田と対決しましたが、宇都宮は組織票を固め再選を果たしました。この選挙から、松山市長選挙の投票率は低下傾向となりました。

1971年の市長選では、革新統一候補として擁立された桧垣俊蔵を大差で破り、三選を果たしました。宇都宮が市長を務めた12年間で、松山市は目覚ましい発展を遂げ、人口で高松市を抜き、四国最大の都市へと成長しました。製造品出荷額も新居浜市と並ぶまでになり、都市の骨格を形成する国道バイパスや松山環状線の整備、松山観光港の建設、石手川ダムの建設など、その業績は多岐に渡ります。

1975年、宇都宮は高齢を理由に市長を引退しました。

引退後の活動と人物像

引退後は、愛媛県国際連合教育科学文化機関協会連盟会長を務め、1977年には松山市名誉市民の称号を受けました。翌年には勲二等瑞宝章を受章しています。

宇都宮は、「剛毅朴訥」を座右の銘とし、著書に「わたくしの生涯」があります。

略歴

1917年：旧制松山中学（愛媛県立松山東高等学校）卒業
1920年：旧制第七高等学校卒業
1923年：東京帝国大学法学部卒業、内務省入省
1943年：青森県知事（官選）に着任
1944年：青森県知事を依願免本官として退官
1947年：井関農機株式会社顧問に就任
1963年：松山市長に当選
1975年：松山市長を退任

栄典

* 1940年：紀元二千六百年祝典記念章

宇都宮孝平は、その生涯を通じて地方行政の発展に尽力しました。官僚としての経験を活かし、青森県、そして松山市の発展に大きく貢献した人物として、その名は長く記憶されるでしょう。

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