井関農機

井関農機株式会社の概要と沿革

井関農機株式会社（ISEKI & CO., LTD.）は、主にトラクターや田植機、コンバインといった農業機械を製造する日本の企業です。同社の製品は「ヰセキ」ブランドで知られ、東京証券取引所のプライム市場にも上場しています。

同社は日本国内の農業機械市場において、クボタやヤンマーアグリに次ぐ第3位のシェアを誇ります。愛媛県松山市の馬木町に位置するISEKI M&Dが登記上の本社ですが、実質的な本社機能は東京都荒川区にあります。井関農機は1960年代には日本の稲作に最適な田植機やコンバインの開発で業界の先頭を走り、1966年に自走自脱型コンバイン「HD50」を初めて発売しました。

さらに、1971年には「さなえ」シリーズの田植機が大ヒットを記録。その後も同社は革新的な製品を次々と発表し、1986年に高速化を実現した「さなえラブリー」や、1999年の「フロンティア ビバ」などが注目を集めました。2004年には、変速機のシフトチェンジを不要にした「ジアスATシリーズ」のトラクターを開発し、同社の技術力をアピールしました。近年は部品の価格適正化を図るため、韓国のTYM社から部品を調達するなどの工夫も行っています。

沿革

井関農機の歴史は1926年にさかのぼります。創業者である井関邦三郎が愛媛県松山市に「井関農具商会」を設立し、1936年に農機の製造を始めることで、同社の道が開かれました。1943年には航空兵器製作所が設立され、1945年には民需への転換が行われて再出発を果たしました。1960年代に上場を果たし、その後オートバイ事業にも進出しましたが、農業機械の製造に本業を戻しました。

1979年からはディーゼルエンジンの開発にも着手し、1983年には内製化に成功、年産体制を確立しました。2003年には中国の江蘇省に現地法人を設立し、国際展開の足掛かりを作りました。

また、2008年には公正取引委員会から不当な下請法違反で勧告を受けるなどの試練もありましたが、2004年には17期ぶりに配当を実施したことが業績改善の証となりました。近年は株式会社ISEKI M&Dを中心に様々な製品を製造し、2018年には有人監視下での無人運転トラクターを開発し、モニター販売を開始しました。

主な製造・研究拠点

井関農機の製品は主に愛媛県と熊本県の事業所で製造されています。愛媛県伊予郡砥部町にある砥部事業所や、熊本県上益城郡益城町の熊本事業所では、それぞれトラクターやコンバインの製造が行われています。そして、その他にも新潟県三条市や愛媛県松山市にそれぞれ専門の製造拠点を持っています。

宣伝・広報活動

井関農機はかつてポルシェとの提携を行っており、1980年代前半にはレーシングチームのスポンサーを務めることもありました。また、マスコットキャラクター「さなえちゃん」の起用など、多様な広告戦略を展開しています。

まとめ

井関農機株式会社は、長い歴史を持つ日本の農業機械メーカーとして、業界での強い存在感を示しています。一連の技術革新と製品開発は、農業の効率化に寄与することを目的としており、今後の成長にも期待が寄せられています。

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