守山城 (尾張国)

守山城：尾張の地に栄えた城の歴史

愛知県名古屋市守山区市場に存在した守山城は、その歴史に数々のドラマを秘めた城です。築城時期や築城者は不明な点も多いものの、16世紀初頭には既に今川・松平方の城として機能していたと考えられています。

16世紀半ば：織田氏と松平氏の争乱の中心

1535年（天文4年）には、織田信秀の弟・信光が城主となり、松平清康との争いに巻き込まれます。「守山崩れ」と呼ばれる事件が勃発し、城は戦乱の渦中にありました。その後、1555年（弘治元年）には織田信長と信光の共同作戦により、織田信友が滅ぼされた後、信光は清洲城に入った信長より那古野城を譲り受けました。信光の後には弟の信次が城主となりますが、家臣の失態により城は焼失し、信長一族の抗争が繰り広げられました。佐久間信盛の仲介により、一時的に信長家臣の信時が城主となりますが、内紛により再び信次に城主の座が戻りました。信次は、天正2年（1574年）の長島一向一揆で戦死しました。

浅井三姉妹の滞在

天正元年（1573年）、浅井長政が織田信長と対立し、小谷城が落城した後、お市の方とその娘である茶々、初、江の三姉妹が、信次の庇護を受け、約1年間守山城に滞在していたことが、近年の研究で明らかになりました。この期間、三姉妹は戦乱の影の中、静かに過ごしていたと考えられます。

廃城とその後

守山城の廃城時期は明確には分かっていませんが、桶狭間の戦い後、信次の死後、あるいは長久手の戦い後など、諸説あります。現在、城跡とされる丘には、松平清康のために建立されたとされる宝勝寺があり、城址碑も建てられています。遺構としては、空堀や土壇の一部が残されています。

城の規模と構造

『尾州古城志』によると、守山城は東西約58メートル、南北約51メートルの規模で、周囲には堀がめぐらされていたとされています。堀の数は資料によって異なり、一重堀とする説と二重堀とする説があります。平山城であることから、比較的規模の小さい城であったと推測されます。

アクセス

守山城跡へは、名鉄瀬戸線矢田駅から徒歩約10分です。かつて激動の時代を生き抜いた城の歴史に思いを馳せながら、静かな城跡を訪れてみてはいかがでしょうか。

参考文献

守山市史編さん委員会 編『守山市史』守山市役所、1963年2月1日
宮本義己『誰も知らなかった江』毎日コミュニケーションズ、2010年
* 守山区制50周年記念事業実行委員会 編『守山区誌』守山区制50周年記念事業実行委員会、2013年2月10日

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