安井算哲

安井算哲（やすい さんてつ）

安井算哲（1590年 - 1652年）は、江戸時代初期の囲碁棋士で、安井家の始祖として知られています。幼名は六蔵、二世安井算哲（渋川春海）と区別するため古算哲とも呼ばれます。

生涯

算哲は天正18年（1590年）、安井忠右衛門宗順の次男として生まれました。幼少の頃から囲碁を学び、算砂の弟子であったとも伝えられています。

慶長5年（1600年）、11歳の時に榊原康政の仲介で徳川家康に伏見城で召し出され、30石12人扶持を与えられました。駿府で家康の碁の相手を務めたり、本因坊算砂、林利玄らと共に碁会に招かれたりしました。出身は大阪の久宝寺であったと考えられています。

慶長13年（1608年）に剃髪して算哲と名乗りました。慶長17年（1612年）には、道碩に次ぐ30石の俸禄を受けました。大坂の陣では叔父の安井道頓が豊臣方に付きましたが、父や叔父を家康に引き合わせ、徳川方への協力を取り持っています。その後は京都に居を構え、毎年江戸に下って碁を打ちました。

寛永3年（1626年）には、二条城で徳川秀忠の御前で中村道碩と対局し、先番3目勝ちを収めました。これ以前にも御前対局はありましたが、この碁が御城碁の始まりとされています。道碩の死後、碁打衆頭領の地位を打診されましたが、算哲はこれを自薦するも受け入れられず、結局空位のままとなりました。

実子がいなかったため、門下の安井算知を養子に迎えましたが、後に実子の二世算哲が安井家を継いだため、家系としての安井家と碁家としての安井家が一時的に並立する形となりました。次男は内藤家の家臣となり、三男は算知の後を継いで安井家三世となっています。

慶安5年（1652年）、京都にて死去しました。法号は正哲院紹元です。

棋風と逸話

算哲は中村道碩と100局以上対局し、道碩が40番勝ち越したと伝えられています。その戦いぶりは道碩に「碁に勝っても命は取られる」と言わしめるほどでした。寛永3年の二条城での対局は算哲の傑作とされ、初手で辺に打った碁も知られています。棋力は名人、上手の間と評されました。

島原の乱の際、算哲は板倉重昌が討ち死にすることを予言し、その通りの報告が届いたため、江戸で話題となりました。


参考文献

安藤如意、渡辺英夫『坐隠談叢』新樹社 1955年
林元美著・林裕校注『爛柯堂棋話』平凡社 1978年

外部リンク

* 木石庵「安井算哲」 (実際のURLは「安井算哲」で検索して下さい)

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