林利玄

林利玄（はやし りげん）

林 利玄（はやし りげん、永禄8年(1565年) - 不詳）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した囲碁棋士。家元林家の元祖として知られています。本因坊算砂とはライバル関係にあり、多くの対局を繰り広げました。日蓮宗本能寺の僧侶でもあり、利玄坊と称されていました。

生涯

堺の出身。詳しい出自は不明ですが、本能寺の僧侶であったこと（『舜旧記』より）、算砂より6歳年少であったこと（『当代記』より）が記録されています。

天正10年(1582年)6月1日、織田信長の御前で算砂と対局し、その際に三劫が生じました。この夜に本能寺の変が起きたと伝えられていますが、この時の棋譜が本当にその日のものかどうかは疑問視されています。

天正16年(1588年)には、豊臣秀吉が主催した御前試合に算砂、鹿塩らと共に参加。算砂が勝ち抜き、定先と定められました。文禄元年(1592年)には、広野了頓（江戸亜相）のもとを細川幽斎、大橋宗桂らと訪問しています（『言経卿記』より）。

慶長2年(1596年)の南禅寺での碁会、翌年の神龍院の碁会、徳川家康が伏見城で催した碁会などにも、算砂と共に招かれました。慶長4年(1599年)には、北野社で三子を置いての対局も記録されています。慶長8年(1603年)には、禁中に召されて算砂と2局対局し、結果はジゴ（引き分け）と3目勝ちとなりました。この際、中村道碩、仙角と共に巻物を賜っています。慶長11年(1606年)には、江戸で伊達政宗が家康を招いた際に、算砂、道碩、宗桂らと同行しました。慶長12年(1607年)には、大坂城において豊臣秀頼の御前で算砂と対局しています。

慶長17年(1612年)に碁打ち衆、将棋衆8人に俸禄が与えられた際には、算砂、宗桂と同じ50石5人扶持を受けています。算砂とは生涯に374局を打ち、算砂が39局勝ち越したとされています。また、利玄の実力は算砂に半子、道碩と同等とも評されており（『当代記』1607年）、互先でも好勝負を繰り広げる棋力であったと考えられています。

利玄の没後、彼の弟子の林門入斎が亡くなった後、安井算知が自分の弟子を二世林門入として林家の家督を継がせました。そのため、林利玄と記されていますが、利玄自身が林姓を名乗っていたかどうかは定かではありません。

参考文献

安藤如意、渡辺英夫『坐隠談叢』新樹社 1955年
中山典之『囲碁の世界』岩波書店 1986年
増川宏一『碁打ち・将棋指しの誕生』平凡社 1995年
増川宏一『碁 ものと人間の文化史59』法政大学出版局 1987年
平本弥星『囲碁の知・入門編』集英社 2001年

外部リンク

木石庵「林利玄」

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