安倍川橋

安倍川橋（あべかわばし）

安倍川橋は、静岡県道208号藤枝静岡線に位置し、安倍川にかかる重要な橋です。この橋は、全長490.9メートルであり、鋼製の13連桁橋として、日本におけるボーストリングトラス形式の橋の中では最も長いものとして知られています。その美しいデザインと堅牢な構造は、地域の交通インフラに大きく貢献しています。

歴史的背景

安倍川橋の歴史は、1871年にさかのぼります。この年、安倍川の渡し船が廃止され、代わりに渡るための木製の仮橋が設置されました。しかし、秋冬の乾燥期には川の流量が減少するため、その期間に利用が考慮された仮の橋だったのです。その後、地元の実業家宮崎総五の尽力により、1874年には本設の木橋が完成し「安水橋」と名付けられました。この橋は509メートルの長さを持ち、当時の工費は7000円で、通行料は1人につき4厘でした。

1896年には、県に移管され通行料は無料となり、その後1903年に二代目の木鉄混合製の橋が架けられました。この橋は安倍川を渡る重要な交通路として利用され、1923年には三代目となる鉄橋に架け替えられるとともに、「安倍川橋」と改名されました。この際、使用された鋼材はイギリス製で、現在でもその製造元の刻印を確認できます。

その後、時代とともに交通量が増加し、1968年には歩道の拡幅が行われ、その後1990年には人口増加に伴い橋の右岸側のトラスが撤去され、アーチ橋にかけ替えられました。

文化財としての評価

安倍川橋はその美しさと歴史的価値が評価され、2005年には土木学会によって選奨土木遺産に選出されました。そして2023年には国の登録有形文化財に指定され、歴史的な価値が認められています。

碑文と記念碑

橋の近くには、宮崎総五の功績を称える石碑が存在します。この碑は大正時代に建立されたもので、安倍川の歴史も併せて説明されています。また、橋から徒歩約3分のところには「安倍川架橋の碑」があり、これは1874年に建設された安倍川橋の設立経緯を後世に伝えることを目的として1913年に建てられたものです。

位置とアクセス

安倍川橋は、右岸が静岡県静岡市駿河区手越に、左岸が静岡県静岡市葵区弥勒二丁目に位置しています。全長490.9メートル、幅8.8メートル（一部12.3メートル）であり、美しい景観の中にそびえ立っています。

公共交通機関を利用する場合、JR東海道線または新幹線の静岡駅から、しずてつジャストラインの路線バスを利用することができます。車でのアクセスも便利で、東名高速道路静岡ICから県道を経由し約10分の距離です。

安倍川橋は、歴史的な価値を持つだけでなく、今もなお地域の人々の生活を支える重要な存在であり、その美しさは訪れる者を魅了します。

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