安全地帯II

『安全地帯II』（あんぜんちたいツー）は、日本のロックバンド安全地帯が1984年にリリースした2枚目のオリジナルアルバムです。この作品は、前作『安全地帯I Remember to Remember』から1年4ヶ月ぶりのリリースであり、音楽界において重要な位置付けを持つ作品となりました。本アルバムは、全曲を玉置浩二が作曲し、井上陽水と松井五郎が作詞を担当しています。特に松井は、このアルバム以降、安全地帯の多くの楽曲の作詞を手がけることになります。

アルバムに収録されたシングル「ワインレッドの心」は、オリコンチャートで1位の大ヒットを記録しました。この曲は特に評価が高く、安全地帯の代表曲として今でも親しまれています。また、同じく先行シングルとしてリリースされた「真夜中すぎの恋」も人気を博し、後にリカット版の「マスカレード」も追加されました。レコーディングは1983年6月から1984年3月まで、KRSスタジオと伊豆スタジオで行われました。

このアルバムは、はじめに玉置浩二が「歌謡曲を意識して制作しよう」と決意し、メロディの美しさを追求しました。松井五郎の詩は、都会の恋愛をテーマにしたものが多く、彼の作詞技法は安全地帯の楽曲の大きな魅力となっています。アルバムはオリコンアルバムチャートで最高2位を記録し、1984年度年間では19位となりました。

バックグラウンドとしては、安全地帯は1982年にデビューし、当初は認知度が低かったものの、プロデューサー星勝の指導の下、玉置が自らの作曲スタイルに固執したことで「ワインレッドの心」が生まれました。ヒット曲が出ない時期を経て、玉置は一気に世間の注目を集めるようになりました。特に「ワインレッドの心」は、リリース当初はそこまで注目を浴びなかったものの、メディアの露出や他の楽曲の影響で売上が徐々に伸びていきました。

録音と制作の過程でも、松井五郎は全曲を手がけ、楽曲のテーマやメロディとの融合を大切にしました。松井自身は、歌のメッセージ性や言葉選びに対し非常に慎重であり、リアリティのある言葉を重視したと語っています。また、彼はアーティストの生き様や感情を表現する方法として玉置浩二の声やメロディに特別な信頼を寄せていました。

音楽的な側面では、前作とは異なり、80年代のポピュラー音楽に影響を受けながらも、安全地帯独自のウェットさや多様なジャンルの要素が組み込まれていると評されました。特に、ギターサウンドの多才さやハードロック、ファンクの要素が融合することで、新たな音楽性が表現されています。

本アルバムは、1984年5月1日にリリースされ、その後も様々なリリースや再リリースが行われました。音楽番組への出演やプロモーションも活発に実施され、特にフジテレビ系の「夜のヒットスタジオ」や「ザ・ベストテン」では、多くの支持を得ました。ミュージシャンたちによるカバーも行われ、長年にわたり愛され続けている作品です。安全地帯の音楽への影響は未だに色濃く、後のアーティストたちにも大きな影響を与えました。

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