安全地帯IX

アルバム『安全地帯IX』の概要

『安全地帯IX』（あんぜんちたいナイン）は、日本のロックバンド安全地帯による9枚目のオリジナルアルバムです。このアルバムは2002年8月7日にSony Music Recordsから発売され、バンドが約10年間の活動休止から復帰する際の第一弾作品となりました。この作品はまた、玉置浩二が1998年にファンハウスからSony Music Recordsにレコード会社を移籍した後、最初のアルバムでもあります。

アルバムのリリースは、前作『安全地帯VIII〜太陽』が1991年に発売されて以来、約11年のブランクを経て実現しました。玉置のソロ作品を含めると、アルバム『スペード』（2001年）以来1年5ヶ月ぶりの新作となります。本作の作詞は松井五郎が担当し、作曲は玉置が手がけていますが、一部の楽曲では玉置の共作や、他の作曲家による作品も収められています。また、プロデューサーには『安全地帯VII〜夢の都』（1990年）でも手掛けた星勝が12年ぶりに復帰しました。

アルバムのレコーディングは、軽井沢に位置するウッドストックスタジオで行われ、安全地帯のメンバーと数人のミュージシャンによって行われました。音楽的には精神的な側面を大切にしたラブソングやバラードが中心に収録されています。

背景と復帰の経緯

前作『安全地帯VIII〜太陽』発表後、安全地帯はデビュー10周年を記念したコンサートツアーを開催し、1993年の神奈川県立県民ホールでのライブが高く評価されました。しかしその後、メンバー間の意見の相違から解散状態に至り、1994年には武沢豊の脱退を受けて活動を休止します。玉置はその後、地道に音楽活動を再開し、ソロアルバムやコンサートにメンバーを招集することで徐々に信頼関係を築いていきました。

1998年には玉置のライブイベントで武沢が参加するなど、復帰の道筋が見えてきました。2001年には安全地帯復活に向けての準備を開始し、メンバーや制作陣と共に新たなスタートを切ることができました。

音楽性と曲の誕生

本アルバムの収録曲「出逢い」は、玉置がソロアルバム制作中に生まれた楽曲であり、元々は玉置の当時の妻である安藤が作曲したものです。これを気に入った玉置が共同で制作することに決め、最終的には5年後にレコーディングされました。他にも「いま」などの曲では、メンバー間の共作が実現し、安全地帯として初の試みが行われました。

リリースとツアー

2002年8月7日にアルバムはCDにてリリースされ、初回限定版にはシングル「出逢い」のMVが含まれたDVDが付属しました。その後、アルバムを引っ提げてのコンサートツアー「安全地帯コンサートツアー2002」も行われ、全国31都市で全41公演が開催されました。

批評

音楽専門メディアからは、アルバムの復帰への期待や音楽性が評価されました。「多彩なシチュエーションのラブ・ソングが収録されており、バンドの安定したサウンドがブランクを感じさせません」と称賛の声が上がりました。

アルバムの成績

オリコンアルバムチャートでは最高位第13位を記録し、登場週数は11回となりました。2022年には安全地帯のアルバム人気ランキングでも高評価を受けています。


このように、『安全地帯IX』はバンドの復活を象徴する重要な作品であり、彼らの音楽性や情熱を改めて届ける役割を果たしました。

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