安国寺 (国東市)

安国寺



安国寺(あんこくじ)は、大分県国東市国東町に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。山号を太陽山と称します。

歴史



安国寺は、室町幕府を開いた足利尊氏が、後醍醐天皇をはじめとする南朝の戦没者の菩提を弔うため、全国に建立した安国寺の一つです。この寺は、応永元年(1394年)に全国68か所の安国寺の最後として建立されました。

最盛期には七堂伽藍を備え、28もの末寺を有する大寺院でしたが、天正年間(1573年-1591年)の島津氏による豊後侵攻の際に、全ての伽藍を焼失しました。その後、寺院は衰退しましたが、明治時代に入り再建されました。その際、廃寺となった京都山科の地蔵寺から足利尊氏坐像や地蔵菩薩立像(延命地蔵)が移されました。

寺の近隣には、弥生時代から古墳時代初期にかけての集落遺跡である安国寺集落遺跡があります。

文化財



重要文化財



木造足利尊氏坐像2012年(平成24年)9月6日指定)

この像は、足利尊氏の存命中に製作されたとされ、現存する最古の尊氏像とされています。束帯姿で、等身大の寄木造りです。元々は、京都の東岩蔵山にあった東岩蔵寺に、尊氏の分骨と共に安置されていました。東岩蔵寺は南北朝時代に将軍家の祈祷所となり、この像は2代将軍義詮によって奉納されたと推定されています。

応仁の乱で東岩蔵寺が焼失すると、尊氏を深く信仰していた京都山科の地蔵寺に移されました。しかし、明治時代の廃仏毀釈により地蔵寺が明治11年(1878年)に廃寺となったため、近くの華山寺に移され、明治40年(1897年)に安国寺に移管されました。

像の構造や技法から、足利将軍家に重用された院派仏師の作と推定され、中世における貴重な俗人肖像彫刻の代表的な例として評価されています。

大分県指定有形文化財



木造地蔵菩薩立像1994年(平成6年)3月25日指定)

寺伝によれば恵心僧都の作とされていますが、実際には鎌倉時代の制作と考えられています。この像は「延命地蔵」とも呼ばれ、足利尊氏が深く信仰し、この像を本尊として京都山科に地蔵寺を創建したと伝えられています。

また、赤穂藩の筆頭家老であった大石良雄(大石内蔵助)が、浅野家断絶後に山科に隠棲した際、この像に祈願したと言われています。像の足元の蓮華座には、当時の住職である逸山祖仁禅師が、四十七士の冥福を祈って収めた戒名が書かれた巻物が納められています。

この地蔵菩薩立像も、足利尊氏坐像と同様に、廃仏毀釈により地蔵寺が明治11年(1878年)に廃寺となったため、近くの華山寺に移され、明治40年(1897年)に安国寺に移管されました。

ギャラリー



[安国寺の画像1]

[安国寺の画像2]

[安国寺の画像3]

脚注



[脚注の内容]

外部リンク



豊後 安国寺

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