安岐真人

安岐真人（あき まさと）

1945年1月11日、香川県小豆郡土庄町に生まれた安岐真人は、その強烈な個性と卓越したボートレースの腕前で、「瀬戸の大魔神」「不動の水上要塞」「闘将」と畏怖を込めて呼ばれた伝説のボートレーサーです。

特徴的なパンチパーマのヘアスタイル、人を射抜くような大きな瞳、そして古武士を思わせる濃い眉と口ひげという風貌は、一度見たら忘れられないインパクトがありました。兄の安岐義晴、娘の安岐奈緒子も元ボートレーサーというボートレース一家に生まれ育ちました。

経歴

香川県立土庄高等学校を卒業後、岡山県玉野市の市役所職員として働いていましたが、仕事にやりがいを見出せず、兄の義晴の勧めもあり、競艇選手を目指すことになりました。3ヶ月の養成期間を経て、1964年5月に地元丸亀競艇場でデビュー。デビュー戦で1着となると、2走目も連勝、さらに最終日の優勝戦も制覇するという鮮烈なデビューを飾りました。しかし、その勝利に浮かれる安岐に対して、連合会の幹部から「お前が勝ったんじゃない。エンジンが勝ったんだ」と釘を刺されたという逸話も残っています。

デビューから1年でA級に昇格し、香川を代表する選手としてその名を轟かせるようになります。徳島の中道善博とはライバルとして比較されることも多かったのですが、中道が常に安定した強さを見せたのに対し、安岐はムラっ気があり、中道との対戦成績では大きく負け越していました。

1981年には後期適用勝率で日本一になったものの、ビッグレースでは常に2着が多く、「万年2位の名人」「無冠の艇王」とも呼ばれていました。しかし、1987年の第2回賞金王決定戦競走でSG初制覇を達成。42歳という遅咲きの勝利でした。その後も、1988年の第15回笹川賞競走でSG2勝目を挙げ、インタビューで「それは涙ですか、汗ですか」と問われた際に「汗です、目から汗が出た。」と高見山大五郎の名台詞を引用したコメントを残すなど、数々の名言、名場面を生み出してきました。

1989年には児島競艇場で転覆事故を起こし、顔面裂傷、左膝の骨折、左手の骨折など、再起不能とも言われる大怪我を負い、長期欠場を余儀なくされました。その後も怪我に悩まされながらも、1993年の第3回GC決定戦競走で優勝、1995年には地元丸亀で行われた第42回全日本選[[手権競走]]で最年長優勝を果たすなど、不屈の精神で数々のタイトルを獲得。特に1997年の第43回モーターボート記念競走では、52歳7ヶ月というSG史上最年長記録を更新して優勝しました。多少強引でも前付けからインを奪って逃げるスタイルを得意とし、2000年の第47回全日本選[[手権競走]]では、予選トップの吉川元浩を進入で圧倒して優出するなど、年齢を感じさせない活躍を見せました。

2001年の第11回GC決定戦競走でアキレス腱を痛めてからはレースから遠ざかり、2004年7月4日の丸亀競艇場でのレースが最後の優出、2005年4月23日の戸田GI「第6回競艇名人戦競走」が最後の勝利（通算2123勝目）となり、翌24日に引退しました。

生涯獲得賞金額は16億8906万2544円、SG5勝、GI22勝を含む77回の優勝を果たしました。

引退後は、評論家活動は目立った活動はしていませんが、デイリースポーツに「魔人参上!!」というコラムを不定期に掲載していました。2007年にはボートレースの殿堂入りを果たし、現在では、ホームプールであった丸亀競艇場で「安岐真人杯争奪瀬戸の大魔神大賞」が年に一度開催されています。

エピソード

1996年の日本ダービーでは、中道善博と共に予想企画に参加。中道同様にフサイチコンコルドを本命に推しましたが、その理由は「一は優勝だから縁起がいい」というユニークなものでした。

主な獲得タイトル

1969年 - 多摩川開設15周年記念競走
1974年 - 四国地区選[[手権競走]]（丸亀）
1977年 - 戸田開設21周年記念競走
1979年 - 宮島開設25周年記念競走
1981年 - 蒲郡開設26周年記念競走
1985年 - 児島開設33周年記念競走
1986年 - 丸亀開設34周年記念競走、唐津開設32周年記念競走
1987年 - 第2回賞金王決定戦競走（住之江）
1988年 - 第15回笹川賞競走（住之江）、丸亀開設36周年記念競走、徳山開設35周年記念競走
1991年 - 丸亀開設39周年記念競走
1993年 - 第3回グランドチャンピオン決定戦競走（住之江）
1994年 - 丸亀開設42周年記念競走、三国開設40周年記念競走
1995年 - 第42回全日本選[[手権競走]]（丸亀）、住之江開設38周年記念競走、宮島施設改善記念特別競走
1996年 - 四国地区選[[手権競走]]（丸亀）、三国開設42周年記念競走
1997年 - 第43回モーターボート記念競走（若松）
1999年 - 丸亀開設47周年記念「京極賞」競走
* 2000年 - 四国地区選[[手権競走]]（丸亀）




安岐真人は、その個性的な風貌と強烈なレーススタイルで多くのファンを魅了し、ボートレース史にその名を刻んだ伝説のレーサーです。

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