安芸市営球場

安芸市営球場（あきしえいきゅうじょう）は、高知県安芸市桜ヶ丘町にある市営の野球場です。安芸市がその管理運営を担っています。長年にわたりプロ野球チームのキャンプ地として知られ、「タイガースタウン」や愛称「安芸タイガース球場」として親しまれています。

歴史

1965年度以降、プロ野球・阪神タイガースが春季および秋季キャンプの会場として利用してきました。これにより、当球場は阪神タイガースにとって重要な拠点となり、別名「タイガースタウン」と呼ばれるようになりました。

しかし、阪神タイガースは2003年からは春季キャンプの一部を沖縄県へ移転し、段階的に利用方法が変化しました。特に、春季一軍キャンプは2011年を最後に、春季二軍キャンプも2022年をもって当球場から撤退しています。一方で、秋季キャンプについては現在も継続して利用されています。

プロ野球ウエスタン・リーグの公式戦も、年間数試合が当球場で開催されています。また、独立リーグである四国アイランドリーグplusの試合も、リーグ発足年の2005年から高知ファイティングドッグスの主催試合として開催されてきましたが、2009年と2010年には開催がなく、2011年8月20日に3年ぶりに試合が開催されるなど、開催状況には変動がありました。

2009年11月には、当球場に「安芸タイガース球場」という愛称が正式に制定されました。

施設概要

メイングラウンド

両翼は96メートル、センターは118メートルの広さを持っています。このサイズは、2002年に国民体育大会の会場となるにあたり、両翼がそれまでの92メートルから拡張されたものです。
約5,000人を収容できるスタンドが備わっています。内野席は座席ですが、外野席はレフト側のみ芝生席となっています。ライト側はサブグラウンドの配置の関係でスタンドが設けられていません。
スコアボードは磁気反転式を採用しており、選手の氏名表示が可能です。改修前のパネル式だった頃は、得点表示とボールカウンター機能のみでした。

周辺施設

サブグラウンド: ナイター設備が完備されており、主に阪神タイガースのキャンプ中の練習や、地元の少年野球・ソフトボールの試合などに利用されています。
安芸ドーム: 天候に左右されずに練習が可能な屋内練習場です。

交通

土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の球場前駅から徒歩ですぐにアクセスできます。

その他

当球場の建設工事に伴って発生した残土は、現在の土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の路盤を築くために活用されました。
阪神タイガースのマスコットキャラクターであるトラッキーとラッキーが踊る「Let's go! トラッキー」の振付け指導用映像は、当球場がロケ地の一つとして使用されました。この映像は当球場のほか、桂浜や牧野植物園、安芸駅など高知県内の様々な場所で撮影されています。
高知県の災害時医療救護計画に基づき、将来発生が懸念される南海トラフ地震などの大規模災害時には、広域医療搬送拠点（SCU: Staging Care Unit）として指定されています。SCUの管理協力病院としては、高知県立あき総合病院が連携しています。
阪神タイガースが春季キャンプの主要な会場として利用されていた時期には、外国人選手の規格外の長打が問題となり、急遽危険防止用のネットが設置されたエピソードが複数あります。
1989年には、セシル・フィルダー選手が放った打球がメイン球場のバックスクリーン後方にある駐車場に停められていた関係者の車に直撃しました。これを受け、安芸市は急遽レフトスタンド後方に高さ7メートルの防球ネットを設置し、これは「フィルダーネット」と呼ばれました。
1994年、ロブ・ディアー選手の入団に際しては、フィルダーネットよりも3メートル高い10メートルの高さに延長された鋼鉄製のネットが設置され、これは「ディアーネット」と呼ばれました。
1999年には、大豊泰昭選手が「ディアーネット」をも超える推定160メートルもの特大ホームランを放ちました。これに対応するため、スタンドがないライト側の後方にも高さ14メートルのネットが新たに設置され、これは「大豊ネット」と称されました。

当球場は、阪神タイガースの歴史と共に歩み、数々のドラマやエピソードを生み出してきた場所と言えます。

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