土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線

ごめん・なはり線

ごめん・なはり線は、高知県南国市の後免駅から安芸郡奈半利町の奈半利駅を結ぶ、土佐くろしお鉄道の鉄道路線です。正式な路線名は阿佐線ですが、旅客案内では「ごめん・なはり線」の愛称が用いられています。地元では「ごな線」とも呼ばれ、駅ナンバリングの路線記号はGNです。

概要

この路線は、鉄道敷設法に定められた「高知県後免ヨリ安芸、徳島県日和佐ヲ経テ古庄附近ニ至ル鉄道」の一部であり、日本鉄道建設公団が建設を進めていた阿佐線のうち、高知県側の区間を引き継いで開業しました。公団が建設した地方開発線としては最後の開業路線であり、非電化路線としても最後に開業した路線の一つです。

徳島県側の区間は、牟岐駅から甲浦信号場までがJR四国牟岐線および阿佐海岸鉄道阿佐東線として開業していますが、甲浦から奈半利までの区間は未成線で、現在は路線バスが代替輸送を担っています。

ごめん・なはり線の特徴は、その美しい景観です。太平洋の海岸線や田園地帯を縫うように走るため、観光客にも人気があります。また、開業当初から利用促進のため、一部の駅に物産館を併設するなど、地域活性化にも貢献しています。

路線データ

管轄: 土佐くろしお鉄道（第一種鉄道事業者）
建設主体: 日本鉄道建設公団（現 鉄道建設・運輸施設整備支援機構）
路線距離: 42.7km
軌間: 1,067mm（狭軌）
駅数: 21駅（起終点駅含む）
複線区間: なし（全線単線）
電化区間: なし（全線非電化）
閉塞方式: 自動閉塞式
最高速度: 110km/h

歴史

かつて後免町と安芸の間には、土佐電気鉄道の安芸線が運行していましたが、1970年代に入り、貨物輸送の廃止や旅客収入の減少により赤字が増大しました。そこで、国鉄阿佐線の建設促進を名目に、用地売却による赤字解消のため、1974年に廃止されました。

阿佐線自体は、1965年から安芸-田野間で建設が始まりましたが、1981年に国鉄再建法により工事が中断されました。当時、約44%が完成していたものの、長期間にわたり建設途中の高架橋などが放置され、「土佐の万里の長城」とも呼ばれました。

その後、1986年に土佐くろしお鉄道が設立され、阿佐線を引き継ぎました。1987年に工事が再開され、2002年に後免-奈半利間が開業しました。

年表

1922年: 阿佐線が鉄道敷設法に基づく予定線に編入。
1965年: 国鉄阿佐線の工事開始（安芸-田野間）。
1974年: 後免-安芸間の工事開始。
1981年: 国鉄再建法により阿佐線の工事中断。
1986年: 土佐くろしお鉄道設立。
1987年: 阿佐線（後免-奈半利間）の事業免許取得。
1988年: 阿佐線の工事再開。
2002年: ごめん・なはり線（後免-奈半利間）開業。
2006年: 全駅で駅番号表示を開始。
2021年: あき総合病院前駅が開業。

運行形態

列車は、奈半利発後免行が下り、逆方向が上りとして扱われますが、誤乗防止のため、路線内では「上り」「下り」の呼称は用いられません。

1時間に1～2本程度の列車が運行されており、各駅停車のほか、快速列車も運転されています。多くの列車は1両編成の気動車によるワンマン運転ですが、一部時間帯では2両編成で運転されます。また、後免駅と奈半利駅の間を直通する列車に加え、安芸駅発着の区間列車も多数設定されています。夕方には後免駅とあかおか駅間を結ぶ区間列車も運行されています。さらに、一部の快速列車と各駅停車は、JR土讃線に乗り入れ、高知駅まで直通運転します。

オープンデッキ車両を使用した列車も運行されており、岩崎弥太郎と中岡慎太郎にちなんで「やたろう号」「しんたろう号」の愛称が付けられています。

使用される車両は全て気動車で、土佐くろしお鉄道の9640形とJR四国の1000形が運用されています。

臨時列車と観光列車

過去には、土讃線の臨時特急「ホームエクスプレス高知」に合わせて深夜に「ホームライナーあき」が運行されていました。

2017年には、ごめん・なはり線開通15周年を記念して「太平洋パノラマトロッコ」が運転されました。

2021年には、JR四国の観光列車「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」が当路線に乗り入れ、高知駅 - 奈半利駅間で運転されました。この列車は好評を博し、期間限定で運行が継続されています。

利用状況

ごめん・なはり線の輸送実績は、以下の通りです。年度によって変動がありますが、近年は安定した利用があります。

車両

開業時には、9640形気動車が10両新造されました。この車両は、海岸沿いの路線特性に合わせてオールステンレス製で、軽量化されています。また、JR四国1000形との併結機能や、バケットタイプの転換クロスシートなど、独自の工夫が凝らされています。

2005年には、駅キャラクター作者のやなせたかしが作詞した曲にちなんで「手のひらを太陽に」号（通称「太陽」号）が導入されました。この車両はオールロングシートで、イベント時には畳を敷いてお座敷列車として利用できます。

また、沿線の安芸市営球場で阪神タイガースがキャンプを行うことから、虎柄の塗装をまとった「阪神タイガース号」も運行されています。

駅一覧

全駅が高知県内に所在しており、各駅にはやなせたかしデザインのイメージキャラクターが設定されています。

停車駅

普通: 全駅停車
快速: 主要駅に停車、一部列車は特定の駅を通過

駅キャラクター

各駅のキャラクターは、駅のオブジェや車両のマーキング、グッズなどに使用され、沿線のイメージアップに貢献しています。また、着ぐるみが制作され、「ゴトゴト着ぐるみ隊」としてイベントに参加しています。

オリジナルソング

ごめん・なはり線には、やなせたかし作詞によるオリジナルソングが存在し、アルバムが発売されています。この曲は、沿線の風景やキャラクターを歌ったもので、地域の人々に愛されています。

脚注

（注釈と出典は省略）

参考文献

川島令三『全国鉄道事情大研究 四国篇』草思社、2007年

関連項目

日本の鉄道路線一覧
阿佐線 - 奈半利 - 甲浦間の未成区間について
高知東部自動車道
阿南安芸自動車道

外部リンク

ごめん・なはり線ホームページ ゴトゴトWeb
ごめん・なはり線の旅
* ごめん・なはり線 - ウェイバックマシン（土佐の高知の鉄道）

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