安藤幸

安藤 幸 (あんどう こう)

安藤幸は1878年12月6日に東京府下谷区（現在の東京都台東区）に生まれ、1963年4月8日にこの世を去った日本の著名なヴァイオリニストです。彼女は洋楽界における重要な存在であり、著名な作家である幸田露伴や幸田延の妹でもあります。

経歴の概要

幸は幼少期から音楽に親しみ、1881年には日本舞踊を西川喜舞から学び始め、1883年には初代山勢松韻から箏曲を習いました。1888年にはルドルフ・ディットリヒにヴァイオリンを学び、1896年に東京音楽学校（現・東京芸術大学）を卒業しました。卒業後は同校の研究科に進学し、しばらく研究を続けました。彼女の同級生には、後に著名な作詞家となる東くめもいました。

1899年からはドイツに留学。ベルリン国立高等音楽学校では、著名な音楽家であるカール・マルケースやヨーゼフ・ヨアヒムから学びました。特に、1902年3月16日にライプツィヒのグラッシ博物館で行われた演奏会では、日本音楽の独自性を示す演奏を行い、箏の楽曲やヴァイオリンによる中国音楽を披露しました。

帰国後は東京音楽学校の教授職に就き、その地位を1932年まで維持しました。その後、1943年まで講師として後進の指導にもあたりました。1942年には帝国芸術院の会員に選ばれ、1950年からは東京芸術大学の講師としても活動しました。1958年には文化功労者としても認められました。

私生活と家族

安藤幸は旧姓を幸田と呼ばれ、1905年に英文学者の安藤勝一郎と結婚し、以降は安藤姓を名乗ります。父は幸田成延、母は幸田猷であり、家族はクリスチャンとして知られています。彼女の兄弟姉妹も多才で、幸田露伴は小説家、幸田延はヴァイオリニスト、幸田成友は日本史学者と、それぞれ異なる道で活躍しました。

夫の安藤勝一郎は長崎高等商業学校や第三高等学校の教授として知られています。彼らの子どもたちも多様な職業で成功を収めており、長男の高木卓は小説家として知られ、三男の安藤馨は日本のコンピュータビジネスの先駆者として名を馳せました。興味深いことに、安藤馨は日本IBMの前身である日本ワトソン統計会計機械の営業責任者を務め、後に富士通で重要なポジションを担いました。

音楽活動と最後の日々

安藤幸の音楽キャリアは豊かで、多くの後進に道を開きました。彼女が提供した教育は、後に多くの音楽家が成長するための基盤となりました。1963年にクモ膜下出血で倒れた後、そのわずか半月後に他界しました。彼女の墓所は神奈川県川崎市多摩区にある春秋苑にあります。彼女の業績は、今なお多くの音楽家に影響を与え、記憶されています。

もう一度検索