安西景益

安西景益（あんざい かげます）

安西景益は、平安時代後期から鎌倉時代初期にかけて活躍した武将で、安房国（現在の千葉県南部）を本拠とする在地領主でした。安西氏は、この地域で力を持っていた豪族であり、景益の父である安西朝景（または安西常景）は、保元の乱で源義朝に従い、功績を挙げたと伝えられています。

景益は幼少の頃から源頼朝と親交があり、その縁から、治承4年（1180年）に頼朝が平家との戦いに敗れて安房へ逃れてきた際、頼朝を助けました。頼朝は、景益の協力を得て、安房国での勢力拡大を図り、景益は頼朝の信頼を得て、その後の頼朝の挙兵を成功に導く重要な役割を担いました。

具体的には、頼朝が安房に逃れた直後、景益は頼朝の指示を受け、安房国の有力者たちを集めるために奔走しました。彼は、頼朝に対し、上総広常のもとへ安易に向かうべきではないと進言し、和田義盛を上総広常のもとへ、藤九郎盛長を千葉常胤のもとへそれぞれ使者として派遣し、頼朝のもとへ来るよう促しました。これにより、頼朝は安房国における勢力を拡大し、その後の挙兵に向けた足掛かりを築きました。

また、寿永元年（1182年）には、頼朝の妻である北条政子が難産であった際、景益は無事な出産を祈願するために洲崎神社に参拝しました。頼朝の嫡男である頼家は、その翌日に無事誕生しました。このことからも、景益が頼朝から厚い信頼を得ていたことがうかがえます。

さらに、景益は元暦元年（1184年）には、源範頼の平家追討軍に参加し、西海へと出陣しました。翌年には豊後国に渡り、平家との戦いに貢献しています。また、建久6年（1195年）には、頼朝の上洛にも従いました。このように、景益は武将としてだけでなく、頼朝の側近としても活躍し、鎌倉幕府の成立に大きく貢献しました。

このように、安西景益は、源頼朝の挙兵を支え、鎌倉幕府の成立に貢献した重要な人物です。彼は、頼朝との幼少の頃からの親交を活かし、頼朝の危機を救い、その後の頼朝の活動を力強く支えました。その功績は大きく、歴史にその名を刻んでいます。

登場作品

鎌倉殿の13人（2022年、NHK大河ドラマ、演：猪野学）

参考資料

脚注に記載された資料

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