安達二十三

安達二十三：ニューギニア戦線を指揮した陸軍中将

安達二十三（あだち はたぞう）は、明治23年（1890年）に東京府で生まれた日本の陸軍軍人です。最終階級は陸軍中将。彼は、太平洋戦争（大東亜戦争）における第18軍司令官としての役割で知られています。

生涯

石川県を本籍とする安達は、陸軍教授であった安達松太郎の四男として生まれました。彼の名「二十三」は、生まれた年にちなんで名付けられました。陸軍士官学校と陸軍大学校を卒業後、歩兵第12連隊長、第37師団長を歴任。その後、北支那方面軍参謀長を経て、昭和17年（1942年）に第18軍司令官に任命されました。

第18軍司令官として

第18軍司令官に着任した当時、ニューギニア方面の制空権・制海権は既に連合国軍に奪われており、補給はほぼ途絶していました。隷下の部隊は分断され、食糧難に苦しむ状況下、安達は部下と苦労を分かち合う姿勢を貫き、兵士からの信頼を集めました。

昭和19年（1944年）8月以降は兵力温存の方針を固め、持久戦を指示。ウェワクにおいて孤立しながらも、先住民との友好的な関係を築き、サゴヤシからの澱粉採取や病人運搬法の確立、永住農園の開拓などを進め、第18軍は終戦まで持ちこたえることができました。

終戦とその後

昭和20年（1945年）7月、安達は「9月には全滅」という状況を判断し、玉砕を覚悟しました。しかし、9月13日、終戦の詔勅に基づき、第18軍はオーストラリア陸軍第6師団に降伏しました。降伏に際し、安達は将兵に対し「軍は大命に基き豪州第六師団に降伏せんとす」と命令しました。

降伏後、安達は戦犯として扱われ、ムシュ島で服役。終身刑を宣告された後、部下の判決が全て下るのを待ち、拘留中の部下8名の釈放が言い渡されると、弁護団に感謝を述べた後、ラバウル収容所で自決しました。

今村均大将宛の遺書には、部下への思いと戦争責任を一身に背負う覚悟が綴られていました。

年譜

1934年（昭和9年）：関東軍鉄道線区司令官、陸軍歩兵大佐
1935年（昭和10年）：参謀本部運輸課長
1936年（昭和11年）：歩兵第12連隊長
1938年（昭和13年）：陸軍少将、第26歩兵団長
1940年（昭和15年）：陸軍中将、第37師団長
1941年（昭和16年）：北支那方面軍参謀長
1942年（昭和17年）：第18軍司令官
1947年（昭和22年）：自決

安達二十三の人物像

安達二十三は、困難な状況下でも部下を思いやり、先住民との共存を図るなど、人間味あふれるリーダーシップを発揮した人物でした。その責任感の強さは、自決という形で示されました。彼の生涯は、戦争の悲劇と、軍人としての責任、そして人間愛について考えさせられます。

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