安養寺 (宇都宮市)

安養寺の概要

安養寺（あんようじ）は、栃木県宇都宮市材木町にある浄土真宗本願寺派の仏教寺院です。この寺院は、鎌倉時代に親鸞によって創立された草庵が起源であり、歴史の中で短期間ですが宇都宮県の県庁舎としても利用されました。安養寺は、宗務活動を行うだけでなく、ボーイスカウトやガールスカウトの指導や、幼稚園の運営にも力を入れています。

歴史

安養寺の歴史は元仁元年（1224年）にさかのぼります。親鸞が大蛇を済度した際に、下野国都賀郡国分に草庵を建立し、その後弟子の順信に譲って「安養寺」と命名されたと伝わります。その後、宇都宮藩に移転し、寛永年間には宇都宮の二里山へ、また正保年間には現在地の材木横町へと移されました。元々は東向きの山門があり、境内北側には薬師堂がありました。

明治4年（1871年）に宇都宮藩が廃藩されると、宇都宮城が県庁舎としての役割を持つことになりましたが、陸軍省による使用のため、安養寺が半年間仮庁舎として使用されました。1893年時には私営の火葬場を運営しており、1908年には近隣の兵営建設に伴い、火葬場が閉鎖され後、1915年に宇都宮市営火葬場が設立されました。1925年には境内を横断する道路が設置され、本堂と鐘楼が南に移設され、境内は道路によって分断されることとなりました。

1991年には、境内北側を通る道路拡張工事に伴い、丹堂薬師を安養寺所有の桜五丁目へ移築しました。

境内の特徴

安養寺の境内には、山門、本堂（お御堂）、鐘楼、安養寺会館が配置されています。主な本尊は阿弥陀如来であり、薬師堂にあった薬師如来像も安置されています。寺はまた、足利尊氏が記した武士の乱暴を禁じる文書を有形文化財として保管しています。

墓地の見どころ

墓地は境内の南側に位置し、山門と対面しています。著名な人物の墓所も点在しており、宇都宮藩の家臣である高宮雲僊や、戊辰戦争の戦死者を悼む官修墓が存在します。また、作家の山本有三の父である山本元吉の墓もかつては安養寺に存在していましたが、現在は現存しません。

丹堂薬師

安養寺には附属寺院である丹堂薬師も含まれています。この朱塗りの堂は「目の薬師」として地域に親しまれ、過去には目に関する信仰が集まっていました。信仰は衰退してしまったものの、江戸時代の貴重な建築物として認識されています。丹堂薬師は1991年に移築された後も、大切な文化財として残っています。

教育活動

安養寺はボーイスカウト宇都宮第1団の活動拠点となり、子供たちに自立や協調性を育む教育を行っています。さらに、ガールスカウト栃木県第3団もここを拠点に活動しています。また、同寺院が運営するめぐみ幼稚園は、子どもたちの個性を尊重した少人数教育を実践し、地域の子育て支援にも努めています。

安養寺はその豊かな歴史と文化、教育への取り組みにより地元の人々に愛される存在として、これからもその役割を続けていくことでしょう。

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