完全右脚ブロック

完全右脚ブロック（CRBBB）

完全右脚ブロックとは、心臓のプルキンエ線維による信号伝達のうち、右脚が完全に遮断される状態を指します。このような症状は心臓の伝導系の異常を含み、結果として心室の収縮タイミングが異なるため、右心室の収縮が左心室に比べて遅れることが特徴です。

病態

本症は、プルキンエ線維の右脚からの伝導が完全に途絶えるため、右心室は心筋からの伝導を頼りに収縮します。それに対して、左心室は通常通り刺激伝導系を介して収縮します。このため、左心室が収縮を終えた後に、右心室が遅れて収縮する現象が生じます。これにより左右の心室間の収縮タイミングのズレが生じ、心臓全体の機能に影響を与える可能性が考えられます。

分類

本症では、ST上昇を伴う場合があり、これをブルガダ症候群と呼びます。この症状は、心筋が異常を示していることを示唆し、より深刻な心疾患の兆候である可能性があります。

原因

完全右脚ブロックの原因は多岐にわたりますが、既存の心疾患が原因となることが考えられます。中でもブルガダ症候群や先天性心室中隔欠損、さらにエブステイン奇型といった特定の先天的異常が疑われます。これらは心臓の構造や電気的特性に影響を与え、ブロックを引き起こす要因となります。

症状

多くの患者は日常生活で特に自覚症状を示さないことが多いですが、時にめまいや脳貧血を感じることもあるかもしれません。しかし、これらの症状は頻繁には見られず、通常は無症状のままで過ごせることが一般的です。

検査

心電図検査

完全右脚ブロックは心電図によって容易に検出可能です。左心室が正常に収縮した後、右心室の収縮が遅れるため、QRS波形は二峰性の特徴を持ちます。具体的には、胸部誘導のV1では上向きの二峰性、V6では下向きの二峰性の波形が見られます。この二峰性の波形は、心室の収縮が同時に起こる際に見られる一峰性の波形とは異なります。

心臓超音波検査（心エコー）

さらに、心エコー検査を使用すると、右心室の運動が左心室に比べて遅れている様子を観察することができ、診断の補助となります。

統計

完全右脚ブロックの原因は明確でないことが多く、どうしてこのブロックが生じるのかは時に謎に包まれています。

治療

治療方法は、基礎となる疾患やブルガダ症候群が存在するかどうかに依存します。これらの疾患が確認された場合、適切な治療を行いますが、そうでなければ経過観察を行うことが一般的です。

関連項目

• - 不完全右脚ブロック
• - 完全左脚ブロック

このように、完全右脚ブロックは心臓の健康に対する重要な指標であり、心疾患の予兆となることがあるため注意が必要です。

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