左脚ブロック

左脚ブロック（LBBB）について

左脚ブロック（英：Left bundle branch block; LBBB）とは、心電図において観察される伝導異常の一種です。この状態に置かれると、左心室の活動が遅延し、右心室に比べて左心室の収縮が遅れることになります。これにより、心臓の機能が損なわれる可能性があり、この異常を検出することは非常に重要です。

心電図による診断

左脚ブロックは心電図を用いて診断され、以下の基準が設けられています：

1. 心拍の起源が上室性であること
2. QRS波幅が120ms以上であること
3. 胸部誘導V1でQSまたはrSパターンが観察されること
4. 心電図誘導IおよびV6で単相性R波が見られること
5. 胸部誘導でのST部に変化が認められても、左脚ブロックに特有のものであると確認できないこと

ダイナミックに変化するT波は、QRS波と反対の方向に現れる特徴があります。これにより心筋虚血や心筋梗塞の可能性も考慮が必要です。診断時には「WiLLiaM MaRRoW」という暗記法が役立ちます。この法則によれば、左脚ブロックではV1誘導にW、V6にM、右脚ブロックではそれぞれ逆のパターンが見られます。

原因

左脚ブロックは多くの基礎疾患と関連しており、以下のような疾患が考えられます：

• - 大動脈狭窄症
• - 拡張型心筋症
• - 急性心筋梗塞
• - 狭心症

さらに、心不全に罹患している患者の30%はLBBBを示すことがあり、70%には左室肥大が確認されます。ただし、12%の患者には基礎疾患が認められない場合もあります。QRS波の幅は、左室機能障害の有病率およびその重症度と比例していることも留意すべき点です。

予後

新たに現れた左脚ブロックは、虚血性心疾患や心不全の指標となり、特に急性期には突然死リスクとの関連が見られます。しかし、症状のない既知の左脚ブロック患者は、長期的には突然死のリスクは低いとされています。

治療

治療には以下の方法があります：

• - 内科的治療：左脚ブロックの患者は心機能を評価する必要があり、失神を訴える患者にはペースメーカーの設置が推奨されます。
• - 外科的治療：症状が重度でQRS延長を伴う場合、ペースメーカーにより症状が改善する可能性があります。

分類

左脚ブロックは解剖学的には細分化できませんが、電気生理学的には前枝ブロック（LAFB）と後枝ブロック（LPFB）に分類されます。前枝ブロックは左軸偏位が見られ、心疾患による死亡リスクが高いため注意が必要です。後枝ブロックは、右脚ブロックとの組み合わせで発作的な房室ブロックを引き起こすことがあります。

このような心電図の異常についての理解は、患者の予後や治療法を考える上で重要です。

もう一度検索