宗正

宗正（そうせい）とは

宗正は、中国の秦から清までの多くの王朝に置かれた官職で、皇族に関する事務を扱いました。その起源、変遷、職掌について解説します。

秦

宗正は古くは秦の時代に存在していました。『漢書』「百官公卿表」には「秦官」として記載され、発掘された秦代の封泥にも「宗正」と書かれたものが見つかっています。

前漢

前漢では、高祖7年（紀元前200年）に宗正が設置されました。これは、前年に劉賈と劉肥を初の同姓（皇族）王として封じたため、遠方の親族を把握する必要が生じたためと考えられます。

宗正の主な職掌は「親属を掌る」こと、つまり皇族に関することでした。具体的には、「属籍」と呼ばれる皇族の名簿を管理していました。宗正は皇族である劉氏から選ばれるのが原則でしたが、例外的に他の官職を持つ者が兼任する場合、劉氏以外の人物が宗正となることもありました。

宗正の補佐として宗正丞が1人置かれ、属官には以下のものがありました。

都司空令 - 都司空丞
内官長 - 内官丞
公主家令
門尉

内官は当初少府に属し、次いで主爵都尉に属し、後に宗正に属しました。都司空、内官の職務については諸説あり、明確ではありません。公主家令は皇帝の娘である公主の家を管理する官で、公主ごとに置かれました。門尉は公主の護衛を担当していたと考えられます。

宗正は三公九卿の九卿の一つとされました。

平帝の元始4年（4年）には、宗伯と改称されました。

新

新の王莽の時代には、宗伯の管轄部門は秩宗（前漢の太常）に吸収されました。

後漢

後漢では、宗正の名称に戻されました。定員は1人で、秩禄は中二千石。王国の嫡庶の序列を管轄し、諸宗室の親等の遠近、郡国の存続年を宗室の名籍に計上しました。また、皇族の成年が法を犯した際には、まず宗正が諮問してから処罰しました。丞が1人置かれ、秩禄は比千石。属官である公主家令は、各家に1人置かれ、秩禄は六百石。それぞれに丞1人が置かれ、秩禄は三百石でした。

その後

その後の王朝では、宗正または宗正卿の名で置かれたり、あるいは省かれたりしました。

唐では、宗正寺に宗正卿が置かれました。

北宋・南宋でも、宗正寺に宗正卿が置かれました。

宗正は、王朝における皇族の管理において重要な役割を担った官職でした。時代によってその職掌は変化しましたが、皇族の秩序を維持し、王朝の安定に貢献したと考えられます。

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