官営幌内鉄道

官営幌内鉄道：北海道開拓の礎を築いた鉄道

官営幌内鉄道は、明治初期に北海道開拓使によって建設・運営された官営鉄道です。北海道の資源開発、特に幌内[[炭鉱]]からの石炭輸送を主な目的として敷設されました。その路線は、現在の函館本線の一部や、かつて存在した手宮線、幌内線へと繋がっています。北海道の鉄道黎明期における重要な役割を担った官営幌内鉄道の歴史を紐解きます。

建設の背景

1869年（明治2年）、明治政府は北海道開拓のため北海道開拓使を設置しました。開拓使は、アメリカ人技師ホーレス・ケプロンを招き資源調査を実施。幌内川上流の炭田が有望と判明すると、ベンジャミン・スミス・ライマンに炭田開発計画を立案させました。当初、ケプロンは幌内と室蘭を結ぶ鉄道を計画しましたが、ライマンは幌内と幌向太（現在の幌向付近）を結び、そこから石狩川を使って小樽港へ石炭を輸送する計画を提案しました。開拓使は経費の安いライマン案を採用しましたが、幌向太付近の湿地帯や石狩川の冬季の結氷などの問題から、最終的に幌内太から小樽へ鉄道を延長する計画に変更されました。

鉄道の開業と発展

1880年（明治13年）1月に建設工事が開始され、同年11月には手宮 - 札幌間が開通しました。京浜間鉄道や阪神間鉄道がイギリス様式で建設されたのに対し、官営幌内鉄道はアメリカ様式で建設されました。軌間は本州の鉄道と同じ1,067 mmが採用され、後の車両航送や本州・北海道間の直通運転に貢献しました。開業当初はアメリカ製の蒸気機関車や客車が導入され、1881年（明治14年）には明治天皇のお召し列車が運行されました。

1882年（明治15年）に開拓使が廃止されると、鉄道と炭鉱は工部省の所管となり、その後北海道庁へと移管されました。1888年（明治21年）には、北有社という団体に運営が委託されましたが、1889年（明治22年）には北海道炭礦鉄道に事業譲渡され、官営幌内鉄道は消滅しました。手宮 - 幌内間および幌内太 - 幾春別間の鉄道路線は、北海道炭礦鉄道の幌内線となりました。

官営幌内鉄道の年表

1880年（明治13年）11月：手宮 - 札幌間が仮開業
1882年（明治15年）11月：手宮 - 幌内間が全通
1888年（明治21年）12月：幌内太 - 幾春別間が開業
1889年（明治22年）12月：北海道炭礦鉄道へ事業譲渡

路線

北海道炭礦鉄道に移管された時点

本線：手宮 - 住吉 - 朝里 - 銭函 - 軽川 - 琴似 - 札幌 - 白石 - 野幌 - 江別 - 幌向 - 岩見沢 - 幌内太 - 幌内
支線：幌内太 - 幾春別

車両

蒸気機関車：1 - 8（義経、弁慶など）
客車：開拓使号

官営幌内鉄道は、北海道の鉄道史において重要な位置を占めています。その建設と運営は、北海道の資源開発と経済発展に大きく貢献し、後の鉄道網の発展に繋がる礎となりました。

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