幌内線

幌内線

幌内線は、かつて北海道の岩見沢駅から分岐し、三笠市を経由して幾春別駅に至る本線と、三笠駅から分岐して幌内駅に至る貨物支線で構成されていた鉄道路線です。この路線は、北海道における鉄道の歴史において重要な役割を果たしました。

路線の概要

幌内線は、国鉄時代に地方交通線として運営され、後にJR北海道に承継されました。しかし、1987年に全線が廃止されました。

路線データ（廃止時）

管轄・区間（営業キロ）：
北海道旅客鉄道（第一種鉄道事業者）：岩見沢駅 - 幾春別駅間 18.1km
三笠駅 - 幌内駅間 2.7km（支線）
日本貨物鉄道（第二種鉄道事業者）：岩見沢 - 三笠 - 幌内 13.6km
軌間：1,067 mm（狭軌）
線路：全線単線
電化方式：全線非電化
閉塞方式：タブレット閉塞式（末期の三笠駅 - 幌内駅間は票券閉塞式）
交換可能駅：1（三笠）

歴史的な経緯

元々、岩見沢駅 - 幌内駅間が本線、三笠駅 - 幾春別駅間が支線でした。しかし、三笠駅 - 幌内駅間の旅客輸送が廃止された際に、同区間が貨物支線に変更されました。そのため、廃止時には岩見沢駅 - 幾春別駅間が本線、三笠駅 - 幌内駅間が貨物支線という形になっていました。

歴史

幌内線は、1882年に官営幌内鉄道によって開業した、北海道で最も古い鉄道路線の一部でした。当初は、沿線の炭鉱から産出される石炭を小樽や苫小牧、室蘭などの港湾へ輸送するために建設されました。1889年に北海道炭礦鉄道に譲渡された後、1906年に国有化され、幌内線となりました。

炭鉱と鉄道

幌内線は、長年にわたり石炭輸送を担ってきましたが、炭鉱の衰退とともに輸送量が減少し、廃止の対象となりました。1979年度の営業係数は718と、経営状況は非常に厳しいものでした。

廃止とその後

1980年の国鉄再建法施行により、1984年に第2次特定地方交通線に指定され、1987年に廃止されました。廃止後、バス路線に転換されました。また、旧幌内駅と三笠駅の構内は、三笠鉄道村として保存され、鉄道の歴史を伝える施設として活用されています。

年表

1882年（明治15年）11月13日：官営幌内鉄道が幌内太 - 幌内間を開業。
1883年（明治16年）2月2日：幌内太 - 幌内間の旅客営業を開始。
1884年（明治17年）8月15日：岩見沢駅を新設。
1888年（明治21年）12月10日：幌内太 - 郁春別間を延伸開業。
1889年（明治22年）5月28日：郁春別駅を幾春別駅に改称。
1889年（明治22年）12月11日：官営幌内鉄道が北海道炭礦鉄道に営業譲渡。
1906年（明治39年）10月1日：岩見沢 - 幌内間、幌内太 - 幾春別間を買収、国有化。
1909年（明治42年）10月12日：国有鉄道線路名称制定により幌内線となる。
1913年（大正2年）9月11日：萱野駅を新設。
1929年（昭和4年）12月15日：（貨）唐松駅を新設。
1930年（昭和5年）8月1日：唐松駅を貨物駅から一般駅に改める。
1944年（昭和19年）4月1日：幌内太駅を三笠駅に改称。
1948年（昭和23年）1月25日：弥生仮乗降場を新設。
1950年（昭和25年）1月20日：住吉仮乗降場を新設。
1951年（昭和26年）2月14日以前：住吉駅を幌内住吉駅に改称
1951年（昭和26年）12月20日：弥生仮乗降場を駅に改める。
1958年（昭和33年）8月5日：幌内住吉仮乗降場を駅に改める。
1972年（昭和47年）11月1日：三笠 - 幌内間の旅客営業を廃止。幌内住吉駅を廃止。幌内駅を一般駅から貨物駅に改める。線路名称上の幌内線を改訂し、岩見沢駅 - 幾春別駅間が本線、三笠駅 - 幌内駅間は貨物支線となる。
1980年（昭和55年）10月1日：栄町仮乗降場を新設。
1981年（昭和56年）5月25日：三笠 - 幾春別間の貨物営業を廃止。
1984年（昭和59年）6月22日：第2次特定地方交通線として廃止承認。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化に伴い、北海道旅客鉄道（第1種）、日本貨物鉄道（第2種）が承継。栄町仮乗降場を駅に改める。
1987年（昭和62年）6月19日：貨物列車の運行終了。
1987年（昭和62年）7月13日：全線を廃止し、北海道中央バスに転換。
2005年（平成17年）12月1日：代替バスの北海道中央バス岩桂線廃止。三笠市営バス萱野線ほか代替路線運行開始。
2009年（平成21年）6月1日：代替バスの代替路線に当たる、三笠市営バス萱野線廃止。

駅一覧

所在地は廃止時点のもの。全駅北海道（空知管内）に所在。

本線

岩見沢駅
萱野駅
三笠駅
弥生駅
幌内住吉駅
幾春別駅

三笠駅 - 幾春別駅間は1972年まで支線扱いでした。栄町駅は元仮乗降場であり、廃止時まで営業キロが設定されていませんでした。

貨物支線

三笠駅
唐松駅
幌内駅

1972年までは本線の一部でしたが、旅客扱い終了時に貨物支線となりました。

鉄道代替バス

全線廃止後は北海道中央バスに転換されました。主に既存バス路線の拡充で対応し、一部区間では新設路線も開設されました。しかし、利用者の減少により、バス路線も一部が廃止され、三笠市営バスに移管されました。現在では、高速バスが一部区間の代替となっています。

主な代替バス路線

三笠線: 転換前から需要が多かった路線。岩見沢駅と三笠市を結びます。
幌内線: 転換前から存在した路線。三笠市と幌内地区を結びます。
日の出台・栄町循環線: 鉄道廃止後に新設された路線。岩見沢市内の住宅地を循環します。

これらのバス路線は、長年にわたり地域住民の足として利用されてきましたが、過疎化や自家用車の普及により、減便や路線の再編が進んでいます。

脚注

外部リンク

国鉄＆ＪＲ北海道の廃線路線シリーズ「幌内線」Japan's Abandoned Rail (The Horonai Line) - YouTube - 鉄道チャンネルHTB
さらば栄光の幌内線―その104年の光と影―(改訂版)　北海道映像記録社製作 - YouTube - NPO法人科学映像館
三笠市ホームページ（三笠鉄道村の情報あり）
バーチャル列車で行こう
国鉄幌内線跡
幌内線跡 - ウェイバックマシン（2019年3月31日アーカイブ分）
幌内線 - 1970年代　北海道鉄道写真

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