定安

定安国（ていあんこく）

定安国は、10世紀に渤海の貴族であった烈万華が、渤海の遺民たちを結集して建国した国です（938年 - 1003年）。独自の年号を有していました。

歴史

938年、烈万華（れつ・ばんか。在位936年頃 - 976年〜979年頃）が「定安国」を建国しました。この年以前の烈万華の動向については、後渤海(復興)の項も参照してください。また、この年、渤海人の朴昇および三千戸が高麗に亡命しています（反烈氏派であった可能性があります）。

970年、定安国王・烈万華は、建国後間もない北宋に使者を送りました。

976年〜979年頃、定安国の第二代国王として烏玄明（オ・ヒョンミョン。在位976年〜979年頃 - 986年頃）が即位しました。彼は旧渤海の大臣であった烏氏の一人です。前王と姓が異なることから、何らかの政変があったものと思われますが、詳細は不明です。烏玄明の時代には、独自の元号である「元興」が使用されました。

976年〜984年頃、北宋は定安国に詔を下し、対契丹同盟が成立しました。

979年、宋が晋陽を平定して兵を幽州に移すと、渤海の酋帥・大鸞河が小校・李勛ら十六人・部族三百騎を率いて来降し、宋は大鸞河を渤海都指揮使としました。また、高麗史には「是歳渤海人数万来投」との記述があり、これは恐らく烈氏から烏氏への政権交代に関係するものと推察されます。

981年、定安国王・烏玄明は、女真の使者に託して再び北宋に上表しました。その中で、「高麗の旧壌と渤海の遺黎を以て方隅に保拠す云々、扶餘府が契丹に背いて帰順し、契丹の脅威が迫っているから宋に救援を依頼したい」等と述べています。宋も詔をくだし、宋・高麗・定安の三国による契丹包囲網が形成されました。

983年以降、契丹が定安国を攻めます。

984年、渤海の豪帥・大鸞河が北宋に召し出され、宴と銭十万、酒を賜りました。

985年、高麗と定安国による契丹（遼）包囲網が形成されたため、契丹は定安への攻撃を開始しました。

986年、定安国は契丹（遼）の攻撃のため一旦壊滅し、契丹は鴨緑江・渾江に達しました。高麗も一時鴨緑江に達しましたが、契丹と高麗の間で和平が締結されました。

989年頃、定安国の第三代国王として大元（だいげん。在位989年頃 - 1018年頃）が即位し、定安国を「後渤海国」と改名しました（定安国と後渤海国の連合体であった可能性があります）。

1003年、契丹（遼）が後渤海＝定安国を攻撃し、定安国は滅亡しました。

定安国の王

中国名と在位年を示します。

初代：烈万華（936年〜938年頃即位 - 976年〜979年頃退位）
二代：烏玄明（976年〜979年頃即位 - 986年頃退位）
三代：大元（989年頃即位 - 1003年退位）（※「後渤海国王」としての在位は後渤海国の項を参照）

定安国の元号

元興（げんこう）

関連項目

渤海
後渤海
再興渤海
東北工程

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