定山渓ダム

定山渓ダムの概要と特徴

定山渓ダム（じょうざんけいダム）は、北海道札幌市南区定山渓にある一級河川・石狩川水系のダムで、もともとは小樽内ダムと呼ばれていました。このダムは国土交通省北海道開発局札幌開発建設部により管理される特定多目的ダムであり、高さ117.5メートルを誇る重力式コンクリートダムです。定山渓ダムは、札幌市の重要な水源である豊平峡ダムとともに市民の生活基盤を支えており、ダムによって形成された人造湖は「さっぽろ湖」と名付けられています。また、このエリアは支笏洞爺国立公園に含まれ、自然の美しさとともに多くの観光客を引き寄せています。

地理と流域

定山渓ダムが建設されている小樽内川は、札幌市内を流れる豊平川の支流として重要な役割を果たしています。小樽市との境から流れ出し、南南東の方向へ流れるこの川は、ダムを通過後、定山渓温泉近くで豊平川と合流します。なお、小樽市には朝里ダムも存在しますが、それとは別の河川であることに注意が必要です。

ダム建設の背景

定山渓ダムは、「豊平川総合開発事業」の一環として1974年に計画されました。当時、札幌市は人口増加に伴い上水道需要と電力需要が増し、既存の治水対策では洪水対策が不十分であることが問題視されていました。そのため、新たな河川総合開発事業として特定多目的ダムの必要性が認識され、ダムの建設が決定されました。完成は1989年であり、政令指定都市である札幌市には、高さ100メートルを超える多目的ダムが二つ存在する唯一の例と言えます。

多目的ダムとしての役割

定山渓ダムの主な目的は、豊平川の洪水調節、上水道の供給、そして水力発電です。具体的には、毎秒2,900立方メートルの計画高水流量を、毎秒2,000立方メートルに減少させることで、洪水時の水量を900立方メートルカットします。また、札幌市への日量375,000立方メートルの水の供給も確実に行っており、北海道電力の小樽内発電所では7,000キロワットの水力発電も行われています。

観光スポットとしての魅力

ダム湖のさっぽろ湖は、札幌市民の公募で名付けられ、観光名所の一つとして多くの訪問者を魅了しています。支笏洞爺国立公園内に位置し、自然環境も保護されています。ダムの下流には「定山渓ダム下流園地」という公園が整備されており、ここではダムの堤体に触れることも可能です。さらに、定山渓ダム資料館が併設されており、手動で発電を体験できる装置などが展示され、地域の教育にも寄与しています。

駐車場や展望台も設置されており、訪れる人々は美しい景色を楽しむことができます。ダムの上流には札幌国際スキー場や朝里峠、朝里川温泉といった観光地もあり、アクティブな楽しみ方にアクセスしやすい立地にあります。これらの要素が組み合わさり、定山渓ダムは単なるインフラ施設を超えて、多くの人々に愛される観光スポットとなっています。

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