宝塚ファミリーランド

宝塚ファミリーランド：関西を代表したレジャーランドの興亡

宝塚ファミリーランドは、兵庫県宝塚市に位置し、1911年の宝塚新温泉の開業から2003年の閉園まで、90年以上にわたって人々に親しまれた遊園地兼動物園でした。阪急電鉄が経営し、宝塚歌劇の大劇場や温泉施設と隣接する立地から、関西を代表する一大レジャーゾーンとして発展を遂げました。

宝塚新温泉からファミリーランドへ

ファミリーランドの歴史は、1911年開業の宝塚新温泉に遡ります。箕面有馬電気軌道の宝塚への旅客誘致を目的として誕生した温泉施設は、その後、食堂や演舞場、室内プールなどを備えたレジャー施設「宝塚新温泉パラダイス」へと進化します。そして1913年、室内プールを改装して劇場が設けられ、「宝塚唱歌隊」が結成。これが後に宝塚歌劇団へと発展していく礎となります。

1924年には、4000人収容の宝塚大劇場と遊園地「ルナパーク」、1928年には「大植物園」が完成。温泉、歌劇、動植物園、遊戯施設が一体となった複合施設は、多くの観光客を呼び込みました。太平洋戦争中は一時閉鎖を余儀なくされましたが、戦後、大劇場の再開、遊戯施設の整備を経て、ますます発展を続けます。

1960年、宝塚新温泉開園50周年を記念して、一般公募により「宝塚ファミリーランド」と命名され、新たな時代を迎えます。ジェットコースターやメリーゴーランド、観覧車などの遊園地施設に加え、動物園、昆虫館、大人形館、電車館、日本庭園など、多様な魅力が揃っていました。園内を周回するモノレールやロープウェイなども設置され、来場者数は増加。1979年には年間354万人というピークを迎えます。

施設の充実と閉園へ

ファミリーランドは時代に合わせて進化を続けました。1967年には「宝塚大人形館 世界はひとつ」が開館し、スペースコースター、急流すべり、お化け屋敷、屋外プール（冬期はアイススケート場）などが次々と建設されました。1981年にはデンマークのチボリパークと姉妹提携を結び、国際的な交流も深めました。動物園ではホワイトタイガーの飼育・繁殖にも成功し、人気を博しました。

しかし、大型テーマパークの台頭やレジャーの多様化、少子化などの影響を受け、入園者数は減少。阪急電鉄は2003年4月、閉園を決定します。閉園を惜しむ声が多く寄せられたことから、同年4月29日からガーデンゾーンを「宝塚ファンタジーガーデン」として一時営業を再開しましたが、同年8月31日、ついにその歴史に幕を閉じました。

閉園後の跡地

閉園後の跡地は、ガーデン、住宅、商業、歌劇の4つのゾーンに分けて再開発されました。かつての遊園地エリアは「宝塚ガーデンフィールズ」というイングリッシュガーデン風の有料公園として生まれ変わりましたが、2013年に閉園。現在は、商業施設、住宅地、関西学院初等部などが建ち並び、かつての面影はほとんど残っていません。唯一残っていたメリーゴーランドも2011年に解体されました。2020年には宝塚市が購入した敷地に「宝塚市立文化芸術センター」が開設されました。宝塚ファミリーランドは、多くの思い出とともに、宝塚の歴史の中に刻まれています。

その他

ファミリーランドには、多くの思い出が詰まっています。お笑いコンビDonDokoDonの山口智充と平畠啓史はここで出会い、元宝塚女優の音花ゆりの妹である女優の相武紗季はここでアルバイトをしていました。園内では様々なイベントが開催され、NHK朝の連続テレビ小説『ぴあの』にも登場しました。閉園後、ホワイトタイガーは各地の動物園に移されました。観覧車は分解され、別府ラクテンチなどに移設されています。園内の電車館に展示されていた車両や展示物は、阪急電鉄正雀工場に移され、現在も保存されています。小林一三の生家は解体され、保管されているとのことです。

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