宝寿院 (和歌山県高野町)

宝寿院について

宝寿院（ほうじゅいん）は、和歌山県伊都郡高野町高野山に位置する仏教寺院で、高野山真言宗の大本山です。寺院の本尊には大日如来が祀られています。この寺院は、信仰の中心である金剛峯寺の建物をモデルにして建立されており、金剛峯寺が何らかの理由で使用できなくなった場合には、宝寿院が一時的に宗派の本山として機能することが定められています。これにより、高野山真言宗の教えや活動が途切れることなく続けられるよう配慮されています。

寺院内には、高野山真言宗の僧侶を育成することを目的とした「高野山専修学院」が併設されており、若い修行僧たちが高度な教育を受けています。また、宝寿院は文化財として、唐代の重要な文献「文館詞林残巻」を国宝として所蔵しているなど、歴史的な価値も兼ね備えています。現在の門主は仲下瑞法です。

歴史的背景

宝寿院は、その設立前に「無量寿院」と呼ばれていました。この名称の寺院は、1016年に深覚僧正によって設立されたとされています。深覚僧正は著名な藤原師輔の子であり、彼が生まれたのは955年頃です。室町時代には、無量寿院は高野山の主要な寺院の一つとなり、特に長覚尊師による不二門教学や、宝性院の宥快法印による而二門教学の確立が大きな影響を与えました。このような流れの中で、無量寿院と宝性院は高野山内部の寺院の中でも特に格式の高いものとされ、江戸時代には盛況を迎えました。

1913年には、無量寿院が宝性院と合併し、現在の宝寿院が正式に設立されることとなりました。初代の門主には高岡隆心大僧正が就任し、さらに1839年には本堂が焼失し、長い再建の時を経て1970年に新たに本堂が完成しました。1973年には、大本山への昇格も果たしました。

高野山専修学院の成り立ち

1922年に設立された高野山専修学院は、真言宗の修行を目的として始まった教育機関です。1932年には高野山勧学寮が併設され、1943年には組織が改編されて専修学院と改称されました。1987年には新たな施設の建設が行われ、整備が進みました。

高野山専修学院では、僧侶を目指す院生たちが厳しい規則の中で修行を行っています。彼らは、基本的に寮生活を送りながら、各種の講義や実践的な訓練を受けることになります。学院内は男性専用であり、女性は別の場所で修行します。特に真言宗僧侶として成長するための四度加行が必須であり、これに伴い外出が制限される厳しい教育方針が採用されています。

院生は高野山真言宗に関する特定の条件を満たした者のみが入学可能です。たとえば、義務教育を修了した男子であり、身心ともに健康でなければなりません。また、入学試験には高野山内の住職が保証人となる必要があります。2013年度からは高野山大学との連携により、大学生も通えるようになり、教育の幅が広がっています。

学院生は様々な法会や行事に参加することが許可されており、高野山内でも重要な役割を果たす存在として、伝統の継承に寄与しています。これらの活動を通じて、宝寿院とその支える教育機関は、未来の僧侶たちを育成し続けています。

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