実孝

実孝の生涯と業績

実孝（じっこう、1495年 - 1553年）は、戦国時代における浄土真宗の僧侶であり、本善寺の住持を務めました。彼は、本願寺の第8世法主である蓮如の12番目の子として生まれ、母は畠山政栄の娘である蓮能尼です。妻は蓮芸の娘・妙宗であり、子供には証祐と証珍室がいます。彼の名は、最初は兼成とされ、後に兼継に改名されました。また、法名も実玄から実孝に変わりました。

幼少期と出家

実孝は、明応4年（1495年）に本願寺の蓮如と蓮能尼の間に生まれました。幼い頃は、大坂御坊で母の元で育てられました。永正2年（1505年）に出家し、大和の飯貝に所在する本善寺の住持に任命されます。

河内国錯乱とその影響

事件が起きた永正3年（1506年）、遠く大和での生活を強いられていた実孝は、兄の実悟と共にこの武力衝突から逃れることができました。しかし、当時の蓮如一門に対する評価はそれほど良好ではありませんでした。実円（9世法主実如の四男）による大和進出の影響を受け、勢力に悩まされる日々が続きました。

著作活動と記録

実孝は筆才に恵まれ、数多くの著作を残しています。彼の母である蓮能尼が亡くなった際には「能尼往生記」を著し、大永5年（1525年）には、実如の死に際して「実如上人闍維中陰録」を書きました。これらの記録は、多くの人々に深い感動を与え、後世に伝わりました。

享禄の錯乱と法印叙任

享禄4年（1531年）、実孝は享禄の錯乱の際に破門されます。その後、行く宛がない兄の実悟を本善寺に匿うなど、家族のサポートにも尽力しました。天文20年（1551年）には、弟の実従と共に法印に叙任され、浄土真宗の信者の指導において重要な役割を果たしました。

晩年と死

実孝は、天文22年（1553年）1月26日に59歳でこの世を去りました。彼は生涯を通じて吉野地方の門徒の指導に尽力し、地域の信仰の発展に寄与しました。彼の死後、長男の証祐が本善寺の住持を継承しましたが、証祐はわずか18歳で早世し、実孝の直系は断絶しました。そのため、本善寺は実孝が生前より目をかけていた証珍が後を継ぐことになりました。

主な著作

実孝の影響は、彼の書物によっても見ることができます。以下は彼の主な著作一覧です：

• - 能尼往生記
• - 実如上人闍維中陰録
• - 蓮芸葬中陰記
• - 実賢葬中陰記
• - 蓮淳葬送中陰記
• - 皆成院実者書

このように実孝の生涯は、浄土真宗の発展において欠かせないものであり、その業績は今なお多くの人々に親しまれています。

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