宣如

宣如（せんにょ）

宣如は、江戸時代初期の浄土真宗の僧であり、真宗大谷派（東本願寺）第13代法主を務めた人物です。慶長9年（1604年）に、東本願寺第12代法主教如の三男として生まれました。

生涯

宣如は、兄たちの早世により法嗣となり、慶長19年（1614年）に父の跡を継いで東本願寺第13代法主となりました。しかし、その継承は平坦な道ではありませんでした。教如の側室であった教寿院如祐尼は、宣如の法主継承を阻み、娘の教証院如頓が産んだ熊丸（後の公海）を擁立しようと画策しました。しかし、最終的には宣如が法主の座を射止め、熊丸擁立の試みは頓挫しました。また、教如が遺した茶入（本願寺肩衝）を巡っても、教寿院との間で争いが起こりましたが、最終的に茶入も宣如が継承することとなりました。

法主就任後、宣如は願得寺など院家五ヶ寺の補佐を受けながら、寺の運営に尽力しました。慶長19年（1614年）には、大坂冬の陣で上洛した徳川家康・秀忠父子と二条城で謁見し、元和5年（1619年）には秀忠から寺領安堵の朱印状を与えられました。これにより、それまで正式に本願寺からの分立を認められていなかった東本願寺は、一派独立の本山として公認されることとなりました。また、宣如は江戸幕府の重臣とも親交があり、寛永7年（1630年）には、明正天皇即位を賀す使者として上洛していた幕臣たちを東本願寺に招き、茶の湯で接待するなど、交流を深めました。

宣如の時代から、東本願寺は末寺の引き抜きを図るようになり、西本願寺から転派した寺院を優遇するなどの措置を講じました。また、文化面では、九条幸家の長女との結婚がきっかけで、狩野山楽の作品が東本願寺に伝わるようになりました。山楽の作品は、東本願寺や別院の大通寺に数多く残されており、現在でも鑑賞することができます。

寛永18年（1641年）には、3代将軍徳川家光から寄進された土地に、石川丈山に庭園を作らせ隠居所（現渉成園）としました。承応2年（1653年）に法主を次男の琢如に譲り、自身は退隠しました。同年には、西本願寺で教義紛争（承応の鬩牆）が発生し、宣如は紛争中に西本願寺から東本願寺への転派を希望する門末への対処について、幕府に報告を行っています。万治元年（1658年）、55歳で生涯を閉じました。

宣如の生涯は、東本願寺の独立、文化交流、そして教義を巡る争いなど、激動の時代を反映しています。彼の功績は、今日まで東本願寺の歴史に深く刻まれています。

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