宮城電気鉄道ED35形電気機関車

宮城電気鉄道ED35形電気機関車

宮城電気鉄道ED35形電気機関車は、1942年（昭和17年）に宮城電気鉄道（現在のJR東日本仙石線）が新製した直流用電気機関車です。この機関車は、その後の宮城電気鉄道の路線国有化に伴い、国鉄（当時の鉄道省）に編入されました。

概要

1942年、東京芝浦電気（現在の東芝）によって製造されたED35形ED35 3は、自重約35tの動軸4軸機として設計されました。一形式一両のみの製造にも関わらず「ED35 3」という記号番号が与えられたのは、既に在籍していたED27形ED27 1・ED27 2の続番として扱われたためです。

外観は、前後に短い運転室、そして角ばった形状の機械室（ボンネット）を備える、いわゆる「東芝標準型」と呼ばれる凸形車体の電気機関車です。このタイプの機関車は、同時期に多くの私鉄にも納入されており、国鉄籍となったものではED37形（奥多摩電気鉄道発注の1021号機を落成後直ちに国鉄籍へ編入）が知られています。

導入後の変遷

1944年（昭和19年）には、宮城電気鉄道の路線が戦時買収によって国有化され、本形式も国鉄籍に編入されました。買収後も改番されることなく使用され、1952年（昭和27年）の車両形式称号規定改訂の際にも、従来の形式番号を維持しました。

本形式は、買収後も引き続き仙石線で運用されましたが、1956年（昭和31年）には豊橋機関区に転属し、飯田線で活躍しました。しかし、飯田線転属後は予備機としての待機が多く、あまり使用されることはありませんでした。

1961年（昭和36年）には、当時残存していた私鉄買収機とともに、ED28形（2代）ED28 11と改称・改番されました。しかし、翌年の1962年（昭和37年）2月には廃車となりました。

廃車後、本機は浜松工場で保管されていましたが、国鉄が京福電気鉄道福井支社が保有していたテキ511形511をEC40形へ復元して静態保存する目的で譲り受けることとなり、その代車として京福電気鉄道に譲渡されました。京福ではテキ531形531と改称され、1980年（昭和55年）まで使用されました。

関連事項

本形式に関連する事項は以下の通りです。

東芝製戦時標準型電気機関車
国鉄ED37形電気機関車
東武ED4010形・ED4020形電気機関車
西武1形電気機関車
西武31形電気機関車
京成デキ1形電気機関車
名鉄デキ600形電気機関車
南海ED5151形電気機関車
西鉄ED200形電気機関車
富山地方鉄道デキ14730形電気機関車

これらの機関車は、同時期に製造された東芝製の電気機関車であり、本形式と同様に各地の私鉄で活躍しました。

宮城電気鉄道ED35形電気機関車は、その短い生涯の中で、仙石線、飯田線、そして京福電気鉄道と、様々な路線で活躍しました。その歴史は、日本の鉄道史における戦時買収や、私鉄の国有化という大きな流れの中で、重要な位置を占めています。

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