宮崎県営鉄道

宮崎県営鉄道の概要

宮崎県営鉄道（みやざきけんえいてつどう）は、かつて宮崎県が運営していた公営の鉄道です。この鉄道は、後に国有化されいくつかの路線が国鉄やJR九州の一部となりました。具体的には、国鉄の妻線（1984年に廃止）、日豊本線、さらには鉄道省油津線（1941年廃止、後に改築し日南線となった）などが挙げられます。

歴史的背景

鉄道建設の始まり

宮崎県は九州内でも比較的鉄道の建設が遅れていた地域です。しかし、明治末期になると県内でも鉄道建設を求める声が強まり始めました。1911年3月、有吉忠一が宮崎県知事に就任すると、彼の手腕によって鉄道建設計画は具体化していきます。彼はかつて千葉県知事として初の県営鉄道を整備した実績があり、それに基づいた施策を宮崎にも適用しました。知事就任年の11月、有吉は宮崎と妻（現在の西都市）を結ぶ軽便鉄道路線の建設計画に取り組みました。

路線の建設と開業

1912年2月10日、宮崎と妻間の妻線、および油津と飫肥間を結ぶ飫肥線の路線免許を取得し、建設が開始されました。同年の9月26日には妻線の着工が始まり、1913年5月21日には県営軽便鉄道管理所が設立されます。そして、同年12月15日には宮崎から福島町（現在の佐土原付近）間が開業しました。この時点で、宮崎駅の駅舎は既に鉄道院が建設しており、県営鉄道はこの施設を借りて運営を行っていました。

国有化に向けて

妻線は開業当初から国有化を見越して、標準的な1067mmの軌間を採用していました。1916年10月25日には、宮崎線として吉松からの延伸が完成し、さらなる延伸工事が進められました。そして、1917年9月21日には妻線が国有化されるに至りました。一方で、飫肥線は762mmの軌間が選ばれ、国有化の可能性は当時は少なかったものの、1935年には国鉄の油津線として国有化が実施され、宮崎県営鉄道はその長い歴史に幕を閉じることとなりました。

路線の詳細

妻線

• - 宮崎 - 福島町 - 妻
• - 宮崎 - 川口（貨物支線）

この他、国鉄が建設した宮崎 - 清武間の宮崎線も運営を担当していました。

飫肥線

• - 飫肥 - 油津

ただし、これらの路線は現在のJR九州日南線とは異なる地点に位置していました。

車両について

妻線の車両

• - 蒸気機関車: 鉄道院から譲渡を受けた機関車が使用されていました。

- 130形蒸気機関車 (130)
- 140形蒸気機関車 (140)
- 1000形蒸気機関車 (1001)

• - 客車: 南海鉄道から余剰な木製2軸客車を購入し、国鉄形式に改造したものが使われていました。

- ロ1→ロハ1
- ハ1, ハ2, ハ3, ハブ1

飫肥線の車両

• - 開業当時は南満州鉄道から譲渡を受けた蒸気機関車や客車、貨車が使用され、軌道線用には特別に設計された車両も存在しました。

結論

宮崎県営鉄道は、地域の交通の発展に大きく寄与した重要な公営交通機関でした。国有化によってその役割が変化したものの、当時の歴史や運営に関しては今でも多くの人に語り継がれています。日々の暮らしに密着した鉄道の存在は、宮崎の発展に欠かせない要素でした。

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