宮廷の諍い女

宮廷の諍い女 (原題：甄嬛伝)

『宮廷の諍い女』は、中国で制作されたテレビドラマであり、2011年末から2012年春にかけて放送されました。原作は流瀲紫によるネット小説で、清代の後宮を舞台に、女性たちの間で繰り広げられる激しい権力闘争を描いています。その緻密な人間描写と、現代社会にも通じる処世術が話題となり、「甄嬛学」と呼ばれる社会現象を巻き起こしました。

あらすじ

清の康熙帝の崩御後、第四皇子の胤禛が雍正帝として即位。彼の後宮では、皇后と寵姫である華妃が勢力を二分し、激しい権力争いを繰り広げていました。そんな中、大理寺少卿の娘である甄嬛は、妃嬪候補として選ばれ、後宮入りすることになります。争いを避け平穏な生活を望んでいた甄嬛でしたが、雍正帝の寵愛を受けたことから、陰謀渦巻く後宮での争いに巻き込まれていきます。

甄嬛は、幼馴染の沈眉荘や安陵容と互いに支え合いながら、後宮での困難を乗り越えようとします。しかし、華妃の嫉妬や皇后の策略により、次第に追い詰められていきます。一度は廃妃となり、寺で修行することになった甄嬛ですが、そこで雍正帝の弟である果郡王と恋に落ち、子を身ごもります。しかし、果郡王の死を知り、復讐を誓って後宮に戻り、皇后を失脚させ、権力を手中に収めます。

しかし、雍正帝は甄嬛と果郡王の関係を疑い始め、彼女に潔白を証明させようとします。ジュンガルとの戦いを有利に進めるため、甄嬛をジュンガルのハーンに嫁がせようとする雍正帝に対し、甄嬛はついに復讐を決意。病に倒れた雍正帝に真実を告げ、憤死させます。そして、新たな皇帝の母として、清国の頂点である聖母皇太后の地位を手に入れ、長きにわたる後宮での戦いに終止符を打つのでした。

後宮の階級

清代の後宮には、以下のような階級が存在しました。

皇后（正室、定員1名）
皇貴妃（側室、定員1名、必須ではない）
貴妃（側室、定員2名、必須ではない）
妃（側室、定員4名、最低1名必須）
嬪（側室、定員6名、必須ではない）
貴人（側室、定員なし）
常在（側室、定員なし）
答応（側室、定員なし）
官女子（側室候補、定員なし、女官身分だが夜伽が許される）

主な登場人物

甄嬛（演：スン・リー）

本作の主人公。聡明で美しく、正義感の強い女性。後宮での権力争いに巻き込まれながらも、知恵と勇気で困難を乗り越え、最終的には聖母皇太后となる。

雍正帝（演：チェン・ジェンビン）

清の皇帝。甄嬛を寵愛するが、疑り深く冷酷な一面も持つ。

沈眉荘（演：ラン・シー）

甄嬛の幼馴染で、姉のような存在。穏やかで賢く、甄嬛を支える。

安陵容（演：タオ・シンラン）

甄嬛の妹分。内向的で嫉妬深く、次第に甄嬛と対立するようになる。

華妃（演：ジャン・シン）

雍正帝の寵姫で、権勢を誇る。嫉妬深く、甄嬛を目の敵にする。

* 皇后（演：エイダ・チョイ）

雍正帝の皇后。表向きは穏やかだが、裏では権力を維持するために様々な策略を巡らせる。

社会現象となった「甄嬛学」

『宮廷の諍い女』は、後宮での人間関係や権力闘争が現代社会にも通じるとして、中国で「甄嬛学」と呼ばれる社会現象を巻き起こしました。ドラマに登場する言葉遣いや処世術、人間関係の駆け引きなどが研究され、ビジネスや日常生活に応用する人々が現れました。

続編・関連作品

『宮廷の諍い女』の続編として、『如懿伝 〜紫禁城に散る宿命の王妃〜』が制作されました。本作の主人公である甄嬛が皇太后として登場し、新たな物語が展開されます。また、時系列的には前日譚にあたる『徳妃伝』の脚本も発表されています。

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