宮良長包

宮良長包（みやら ちょうほう）

宮良長包（1883年3月18日 - 1939年6月29日）は、20世紀前半に活躍した日本の作曲家、教育者であり、沖縄県八重山郡石垣町（現在の石垣市）出身です。彼は石垣市名誉市民でもあります。

生涯

1883年、宮良長包は石垣町新川で生まれました。宮良家は音楽的な才能に恵まれた家系で、長包の叔父である長次は、八重山民謡の代表として知られる「トバラーマ」の名歌手でした。また、長包の妹であるヌヘマも、1935年にコロムビア・レコードで八重山民謡を録音しています。

長包は、石垣南尋常小学校、八重山島高等小学校を経て、1903年に首里の沖縄師範学校に入学しました。卒業後は、八重山高等小学校（現在の石垣市立登野城小学校）の訓導として教育者の道を歩み始めました。その後、沖縄県民として初めて県師範学校の唱歌担当教諭に迎えられ、晩年まで教育活動に尽力しました。

教育活動の一環として作曲にも取り組み、70曲以上の作品を作曲したと推測されています。これらの作品の多くは、師範学校在職中の1921年から1938年にかけて作曲され、長包自身や師範学校の音楽部員などによって沖縄県内に紹介されました。数曲は単独で出版されたほか、曲集として『盾里古城』（1932年頃）や『琉球の新民謡』（1936年）が出版されました。

しかし、未出版の作品を含む70曲以上の手稿譜のほとんどが、第二次世界大戦中の沖縄戦によって焼失してしまい、現在入手できる作品は36曲に過ぎません。

作品の特徴

宮良長包の作品は、以下のような特徴を持つとされています。

旋律の音階は、長調においては沖縄と本土の音階が混同されており、短調においては本土の芸術歌謡の影響が強い。
旋律、伴奏を含めた楽曲構成は、沖縄音楽の特質を反映している。
リズムは、沖縄音楽の特質を直接的に反映している。
伴奏の発想は、対沖縄音楽、特に八重山古謡の特質に根差している。
歌唱旋律が重視されている。

また、宮良長包の作品は、「侘しい、寂しい」といった感情を表現しているものが多く、「南国的で明るい」というイメージは、表面的にしか捉えられていないという指摘もあります。

著書・伝記

『宮良長包作曲全集 生誕120年記念』大山伸子編・校訂、琉球新報社、2003年
増補改訂『宮良長包作曲全集』同、2023年
『宮良長包著作集 沖縄教育音楽論』三木健・大山伸子編著、ニライ社、2004年2月
大山伸子『宮良長包作品解説全集』琉球新報社、2023年11月

関連事項

沖縄音楽
安里屋ユンタ
宮良長包音楽賞 - 琉球新報社主催の音楽賞。

外部リンク

* 映画「えんどうの花」

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