宮部長房

宮部長房（みやべ ながふさ）

宮部長房は、安土桃山時代から江戸時代の初期にかけて活動した武将であり、豊臣氏の家臣として知られています。彼は因幡の鳥取城を治めており、その官位は従五位下・兵部少輔でした。長房の人生は多くの歴史的事件と絡み合い、特に関ヶ原の戦いが彼の運命を大きく左右しました。

経歴

1561年、長房は宮部継潤の子として生まれたとされ、一説には彼は継潤の甥で養子として育てられたとも言われています。彼は豊臣秀吉に仕官し、1586年には従五位下・兵部少輔に叙任され、豊臣姓を賜りました。これは彼の父である継潤や義理の兄弟である秀次など、豊臣家との密接な関わりが影響していると考えられます。

文禄元年には文禄の役に従軍し、翌年には京城と釜山浦の防衛に従事しました。長房の陣営では、宴会の際に石田三成が加藤光泰を毒殺したという逸話も残っていますが、これについては誤解であるとする説もあります。彼は帰国後、伏見城の工事にも関わりました。

慶長元年、長房は家督を相続し、鳥取城主として13万1千石（または5万石とも）を領有することとなりました。慶長3年には秀吉の遺物として来国俊の刀を受け取り、翌年には豊臣秀頼に仕えることになります。

関ヶ原の戦い

1600年の関ヶ原の戦いでは、初めは徳川家康に従って従軍していましたが、その後西軍に転向します。しかし、戦いの結果、西軍が敗北すると、居城である鳥取城は攻撃を受け、所領を没収されました。長房の家臣たちが東軍派と西軍派に分かれたことが情報漏洩の要因とも考えられる中、長房は妻子を石田方に人質として取られたことにより、大坂へ引き返さざるを得ませんでした。

『因幡民談記』によれば、長房は500人の軍勢を率いて従軍していましたが、石田三成が挙兵したとの報を受けて逆転し、長房は熱田へ向かうことを決意。しかし、船の手配がうまくいかず、最終的には彼の軍勢は散り散りになり、長房自身は捕らえられて岡崎城へと送られました。戦後、長房は死罪の宣告を受けますが、家臣の吉政の懇願により生き残ることができました。

慶長6年には南部利直に預けられ、生活を支えるために460石を与えられました。長房はその後、剃髪して長令と名乗るようになります。彼の晩年には、田中吉政に騙されたとの文書を幕府へ提出する事態もありましたが、すでに多くの関係者が他界しており、その真偽は立証されませんでした。

子孫

宮部長房の長男である長之は、母方の縁で津藩藤堂家に仕官し、後に尾張徳川家に仕官しましたが、嗣子がなく断絶したとされています。次男の兵蔵は盛岡で生まれ、南部家に出仕しました。そこで彼の子孫は多賀姓に改姓し、その後も南部藩で家老を務める者たちが現れました。明治維新後には宮部姓が復活し、自由民権運動で知られる宮部謙吉がその末裔となりました。長房の人生は、歴史の波に翻弄されながらも、彼の家系に大きな影響を与え続けました。

結論

宮部長房は歴史の一瞬一瞬に強くリンクし、武将としてだけでなく、人間としても様々な葛藤を抱える存在でした。彼の物語は、当時の日本の政治情勢や戦の様相を如実に映し出しています。彼の行動や選択がどのように自身やその家族に影響を及ぼしたのかを知ることは、歴史を学ぶ上で重要な手がかりとなるでしょう。

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