家光が行く

『家光が行く』：若き将軍の町騒動記

1972年、日本テレビ系列で放送された時代劇『家光が行く』は、若者向けの青春時代劇として注目を集めた作品です。全13話、毎週木曜のゴールデンタイムに放送され、歌手としても活躍していた仲雅美が主演を務めました。

物語の中心となるのは、将軍になることが決まっている徳川家光（竹千代）です。しかし、春日局による厳しい教育や城内の堅苦しい生活に耐えかねた家光は、ある日、着流し姿で町へと飛び出します。そこで彼は「竹さん」と名乗り、様々な人々との出会いを通して、世間の厳しさや人情の温かさ、そして自身の成長を経験していきます。

個性豊かな登場人物たち

家光を取り巻く登場人物たちも、物語に彩りを添えています。

おるい（吉沢京子）： 家光が町で出会う女性。彼の正体を知った上で好意を寄せるものの、身分の違いを痛感しています。
鳶の弥平次（目黒祐樹）： 元豊臣家の残党で、最初は家光と敵対する立場にありますが、物語が進むにつれて協力関係を築いていきます。
大久保彦左衛門（ハナ肇）： 家光を影で支える旗本の老臣。家光の町への外出を黙認し、時に助言を与えます。
兵頭丹波守（高橋昌也）： 家光に対抗心を燃やす野心家。家光の弟を将軍にしようと画策しますが、物語終盤に改心します。
春日局（加藤治子）： 家光の乳母。厳格な教育で家光を厳しく指導しますが、内心では家光の幸せを願っています。
柳生但馬守（中村敦夫）、志津（小柳ルミ子）： 大奥の者として、家光の町への外出を陰で支えます。
源兵衛（牟田悌三）： 家光が頻繁に訪れる「ひさごや」という店の主人。物語終盤で家光の正体を知ることになります。
新兵衛（佐藤允）： 「ひさごや」にいる謎の浪人。実は家康配下の忍びで、家光を密かに護衛しています。
* 徳川家康（山村聡）： 家光の祖父。一見好々爺ですが、時に厳しい一面も覗かせます。

時代劇を超えた青春ドラマ

『家光が行く』は、単なる時代劇にとどまらず、若き日の家光が成長していく姿を通して、青春の葛藤や喜びを描いたドラマでもあります。家光が町で出会う様々な出来事、人々との交流を通して、彼は世の中に対する理解を深め、真のリーダーへと成長していきます。

また、仲雅美の歌唱による主題歌「さすらいが呼んでいる」も、ドラマの雰囲気を盛り上げています。オープニング映像では曲名がクレジットされていませんでしたが、主題歌としての知名度は高いようです。

本作品は、豪華なキャスト陣と、テンポの良いストーリー展開、そして時代劇と青春ドラマの融合という点において、当時高い評価を得ていました。若き日の家光像、そして個性豊かな登場人物たちの活躍を通して描かれる、痛快で感動的な物語は、今なお多くの視聴者を魅了し続けていると言えるでしょう。

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