家島汽船

家島汽船株式会社の歴史と航路

家島汽船株式会社は、1887年に設立された兵庫県の海運会社で、永らく姫路港と家島諸島の間を結ぶ航路を運航していました。この航路は特に地域の住民に喜ばれていましたが、時間の経過と共に様々な問題が顕在化していきました。

早期の運航とサービスの安定

設立当初から家島汽船は、姫路港から家島諸島への重要な輸送手段として機能していました。1970年代には、1日5往復の便を運航し、島民の日常生活を支える役割を果たしていました。しかしながら、利用者からは不満の声が上がることも多く、特に最終便が18時台と早く、利便性が低いことが問題視されていました。

自主運航の開始

このような状況に対し、家島諸島の自治会は増便や最終便の繰り下げを再三にわたって要望しましたが、家島汽船は赤字を理由にその要求には応えませんでした。このため、自治会は反発し、自主的に船舶を購入。1997年7月には自主運航を開始しました。その後1999年には、家島町が出資する「高速いえしま」が運航を開始し、結果的に所要時間を3分の1に短縮したことで、広く支持を集めました。最終便も20時30分に繰り下げられ、利便性が大幅に改善されたことで、家島汽船は徐々に旅客を失っていくこととなりました。

競争の中での運航

家島汽船はこの競争に対応するため、高速船の導入や運航ダイヤの調整を行い、1998年から2001年の間に旅客数が急増しました。具体的には1998年の14万人から2000年には38.6万人、また新しい競合である高福ライナーの参入後の2001年には59.7万人に達しました。この間、家島汽船は3社合わせて最大24往復を運航していました。

終焉と影響

しかし、競争が激化する中で、経営は困難を極めるようになりました。そして2005年5月、家島汽船は神戸地方裁判所姫路支部に自己破産を申請し、5月31日には終に運航を停止しました。これにより、地域の交通は新たな転換期を迎え、多くの乗客が新たなサービスに流れていくこととなりました。家島汽船の運営は、地域の交通網に多大な影響を与えたのが印象的です。

航路の概要

家島汽船が運航していた航路は、姫路港から男鹿島を経由し家島港に至るもので、運航停止時点では1日8往復の便が設定されており、一部の便は男鹿島に寄港していました。

船舶について

家島汽船が使用していた船舶には、1998年に竣工した「ささゆり」がありました。この船は容量250総トン、総長43m、幅7.8m、深さ3.52mの船で、ディーゼルエンジンを2基搭載し、出力は4,070PS。航海速力は27.6ノットで、380名の旅客を収容可能でした。運航停止後、この船舶は台湾に売却されました。

このように、家島汽船は地域の発展に寄与した一方で、競争の中で苦しんだ歴史があります。

もう一度検索