富山地方鉄道14710形電車

富山地方鉄道14710形電車の概要

富山地方鉄道14710形電車は、1967年から1968年にかけて富山地方鉄道によって導入された電車です。老朽化した従来車両の代替として名古屋鉄道から譲り受けたものであり、この車両形式は主電動機の出力を基に名付けられました。14710形は、110 kW相当とされる出力を持つ電動車で、登場時には名鉄での原型を保ちながら運用されていましたが、その後の改造により富山地方鉄道独自の仕様へと進化しました。主に立山線や上滝線で運用され、1993年まで在籍していました。

導入の背景と経緯

富山地方鉄道は1943年に発足し、多様な運用車両を継承したことから、老朽化が進行した車両群を統一的な性能の車両で置き換える必要がありました。1960年代には名古屋鉄道の3800系が廃車にされることが決定し、そのため引き受けることとなります。名鉄3800系の車両は、当時の運輸省の私鉄郊外電車設計要項に基づいて製造されていたため、互換性が高かったことも大きな要因となりました。導入当初は借入の形だった車両も後に正規譲渡が行われ、14710形として地鉄に形式が付与されました。

７編成14両が導入された14710形は、車体施工に関して名鉄時代のままとなっており、初期の設計を生かした部分が多く残っていました。特に、運転台の構造や内装の仕様が名鉄の特徴を色濃く反映しています。

仕様と特徴

14710形の車両は全長17,430 mm、全幅2,744 mmで、片運転台の半鋼製車体を持っています。同車両は2扉構造で、初期導入時には名鉄での形状をほぼそのまま踏襲していました。車内設備については、暖房装置の新設や車体塗装の変更を覗けば名鉄在籍当時の設計が維持されています。各編成によってノッチの位置や内部設備の微細な違いも見受けられ、名鉄在籍時の改造の影響が見て取れました。

外部の塗装は、下半分が濃いオレンジ、上半分が薄いオレンジのコンビネーションで、地鉄の「急行色」を意識したデザインに変わり、内装もそれに合わせて整備されました。車両性能としては全界磁時の定格速度が64 km/hであり、地鉄の吊り掛け駆動車の中では最も高い速度性能を有していました。

運用の実績

導入後は立山線系統の急行列車運用に充当され、その用途は特急列車にも及んだことがありました。1973年の立山黒部アルペンルート開通に合わせて、特急列車を運行するために車両の改装が行われ、座席等のレイアウト変更が加えられました。また塗装もオーバーホールの際に変更され、イメージアップが計られました。

その後、1980年代には様々な改造や更新が施され、運転台の改善や制動装置の見直しが行われました。1985年以降、運用されていた車両の冷房化が進められ、標準塗装も一新されました。

廃車とその後

最終的には1993年にすべての車両が廃車となり、富山地方鉄道14710形はその歴史を閉じました。運転台制動弁は他の新型車両の整備に転用されるなど、国鉄や私鉄の協力による形で進められました。

このように、14710形電車は富山地方鉄道において重要な役割を果たし、その運命をともにした多くの方々に愛された車両となりました。

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