富山県道54号福光上平線

富山県道54号福光上平線について

富山県道54号福光上平線は、富山県南砺市を東西に横断する主要地方道です。起点となる南砺市刀利から小矢部川の源流を遡り、ブナオ峠を越えて庄川筋の南砺市西赤尾町に至ります。この道は、かつて「塩硝街道」と呼ばれ、五箇山で産出された塩硝を金沢へと運ぶ重要なルートとして利用されていました。

概要

この県道は、南砺市の山間部を縫うように走っており、自然豊かな景観が楽しめます。しかし、近年は土砂崩れなどの災害が多発しており、特に中河内からブナオ峠にかけての区間は事実上、車両の通行ができない状況です。また、西赤尾町からブナオ峠にかけての区間も、道幅が狭く急勾配が続くため、運転には注意が必要です。これらの状況から、この県道は「険道」としての側面も持っています。

歴史

この県道の歴史は、以下の通りです。

1925年（大正14年）：福光から刀利までの馬車道路が開通。
1935年（昭和10年）：下小屋まで林道が開通。
1954年（昭和29年）：中河内から下小屋まで林道開発が進み、大型車の通行が可能に。
1965年（昭和40年）：ブナオ峠までの林道810mが完成。
1966年（昭和41年）8月：滝谷トンネル（建設当初は中河内トンネル）の建設を開始。
1966年（昭和41年）12月18日：滝谷トンネルが貫通。
1967年（昭和42年）3月：滝谷トンネルが完成。
1968年（昭和43年）：林道ブナオ線（総延長16km、幅員3.6m）が開通。
1973年（昭和48年）3月31日：県道に昇格し、刀利西赤尾線として路線認定。
1982年（昭和57年）4月1日：建設省（現・国土交通省）が刀利西赤尾線を主要地方道福光上平線に指定。
1982年（昭和57年）12月23日：「刀利西赤尾線」を現路線名に変更。
1993年（平成5年）5月11日：建設省から、県道福光上平線が福光上平線として主要地方道に再指定。

路線状況

この県道は、以下の特徴を持っています。

通称：塩硝街道
冬期閉鎖区間：南砺市刀利（刀利トンネル） - ブナオ峠 - 同市西赤尾町 26.5 km
概ね11月中旬から翌年5月中旬まで閉鎖されます。
起終点にはゲートが設置され、冬期閉鎖期間中は通行止めとなります。
大雨などの異常気象時にも同様にゲートが閉鎖されます。
起終点には道路情報掲示板が設置されています。

トンネル

この県道には、以下のトンネルがあります。

刀利トンネル (83m)
南砺市刀利に位置し、幅員は4.0mです。
上平側はスノーシェッドと一体化しています。
内部には照明がありません。
滝谷トンネル (409m)
南砺市滝谷に位置し、ポータル上部には「瀧谷隧道」と刻まれています。
幅員は4.0mですが、高さ制限3.0m以上の車両は通行できません。
上平側でカーブしているため、見通しが悪く、片側交互通行となっています。
トンネル両側にセンサーが設置されています。

地理

この県道は、南砺市内を通過します。

交差する道路
富山県道10号金沢湯涌福光線（南砺市刀利）
林道城福線（南砺市刀利）
国道156号（南砺市西赤尾町）
沿線にある施設など
小矢部川
刀利ダム
長瀞峡
不動滝
ブナオ峠：南砺市刀利と同市西赤尾町の境に位置する峠で、小矢部川水系と庄川水系の分水嶺です。大門山・奈良岳方面への登山道入り口があります。

沿線集落跡

かつては集落が存在していましたが、ダム建設や過疎化により廃村となっています。

刀利：ダム水没に伴い、1963年に廃村。刀利城跡があります。
瀧谷：ダム水没に伴い、1962年に廃村。
中河内：ダム水没は免れたものの、1966年に廃村。かつては遊廓があり、小唄にも残っています。
下小屋：ダム水没は免れたものの、1966年に廃村。かつては石川県に通じる道がありました。

まとめ

富山県道54号福光上平線は、歴史と自然が織りなす魅力的な道ですが、災害や道路状況により通行が困難な区間もあります。通行の際は、道路情報に十分注意する必要があります。

この情報は、以下の参考文献に基づいて作成されました。

宇野二郎 『刀利谷史話』 刀利谷郷友会、1978年
* 『道路現況調査資料』 富山県、2009年

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