富楼那

富楼那弥多羅尼子について

富楼那弥多羅尼子（ふるなみたらにし）は、釈迦の十大弟子の中でも特に著名な人物であり、しばしば富楼那（ふるな）と略称されます。彼はその卓越した弁舌から「説法第一」と称され、仏教の教えを広める上で重要な役割を果たしました。彼の名はパーリ仏典の一部に含まれるプンナ教誡経（Puṇṇovāda-sutta）にも記載されており、その存在感は多くの信者に強く印象付けられています。

出身と家族

富楼那は、カピラ城近郊のドーナヴァストゥという村に生まれました。彼はバラモン種族の出身で、父親は浄飯王、つまり釈迦の実父の国師でした。母親も釈迦の最初の弟子の一人、僑陳如の妹であると言われています。彼の家は裕福で、多くの富を持っていたと伝えられています。

経歴

富楼那は釈迦と同い年で、幼少期から非常に聡明でした。彼は早くにバラモンの四つのヴェーダや五明（声・因・医・工・内）の学問に通じていましたが、世俗の喧騒を避けるために雪山に入って修行を始めます。そこで彼は苦行を通じて四禅定や五神通の能力を得ました。

その後、釈迦の成道の知らせを受けた富楼那は、仲間と共に鹿野苑へと向かい、仏の弟子となりました。『マハーヴァストゥ』には、彼のもとに五神通に通じた29人の弟子がいたと記されていますが、釈迦の教えを知ることで弟子としての道を選んだとされています。

異説では、彼は嫉妬心から出家し、20年間修学を重ねた後に釈迦以上の知識を持つと考え、王舎城に戻って釈迦と議論を交わしましたが、仏陀の説に敗北し弟子となったとも伝えられています。また、彼には四つの弁才があったとも言われています。

舎利弗は富楼那の徳を慕い、日中に彼の坐禅の場を訪れ、共に問答を交わしながら互いを称賛しあったことが語られています。阿難は新たに入門した比丘たちに、富楼那の教えが非常に貴重であることを教えました。

富楼那は阿羅漢果（悟りの境地）を得てから各地に出向き、教化に努め、約9万9000人の人々を教え導いたと伝えられています。このように、富楼那は釈迦の教えを広める上で欠かせない存在であり、多くの人々に影響を与え続けています。

関連項目

• - 十大弟子（シャーリプトラ／モッガラーナ／大カッサパ／スブーティ／プンナ／大カッチャーナ／アヌルッダ／ウパーリ／ラーフラ／アーナンダ）
• - プンナ教誡経

外部リンク

• - 富楼那 - コトバンク

このように、富楼那は釈迦の教えの伝道者として、今もなお多くの信徒から尊敬されています。

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