浄飯王

浄飯王（じょうぼんおう）

浄飯王は、釈迦族の王であり、釈迦の父として知られています。カピラヴァストゥの城主であり、その生涯は仏教の創始者である釈迦の人生と深く結びついています。

名前について

浄飯王の名前は、サンスクリット語で「Śuddhodana（シュッドーダナ）」、パーリ語で「Suddhodana（スッドーダナ）」と表記されます。音写では「輸頭檀那」「閲頭檀」など、漢訳では「淨飯」「白飯」「眞飯」などと訳されています。

人物と出自

浄飯王の父（釈迦の祖父）は、一般的に師子頬王（ししきょうおう、Skt：Pali Sīṃhahanu）とされています。ただし、経典によっては異なる名前で記されている場合もあります。

有部破僧事によると、浄飯王は師子頬王の子であり、善悟王の次女・大幻化を娶りました。その後、般茶婆（パンダヴァ族）の反逆を鎮圧した功績により、善悟王の長女・幻化も娶ったとされています。これはカピラヴァストゥの「一王二妃を娶らず」という家制を破るものでした。

仏本行集経には、師子頬王に四男一女がおり、その長男が閲頭檀（浄飯王）であると記されています。また、天臂城の善覚王の八人の娘は皆、師子頬王の王子たちに嫁ぎ、そのうちの一人である為意と、八女の摩訶波闍波提が浄飯王の妃になったと伝えられています。

一般的に、浄飯王は摩耶夫人を娶り、ガウタマ・シッダールタ（釈迦）をもうけたとされています。摩耶夫人は釈迦の出産後7日で亡くなったため、妹の摩訶波闍波提が釈迦の養母となり、その後、浄飯王の妃となりました。釈迦は成長し、耶輸陀羅を妃に迎え、羅睺羅をもうけましたが、出家を決意します。浄飯王は当初、釈迦の出家に反対しましたが、最終的には五比丘を派遣して釈迦を警護させました。

釈迦の帰郷とその後

釈迦が成道後、初めてカピラヴァストゥに帰郷し説法を行った際、摩訶波闍波提の子である孫陀羅難陀や多くの王子、そしてラーフラまでもが出家してしまいました。これを悲しんだ浄飯王は、仏に「父母の許可なくして出家することを禁じてほしい」と要請し、仏はこれを受け入れたとされています。

ダンマパダには、釈迦が帰郷した際、ニグローダゴーパ園で説法をしたものの、誰も釈迦を自宅に招こうとしなかったという逸話が残っています。浄飯王は「釈迦は自分の息子なのだから、言わなくても自ら家に来るだろう」と考えていました。翌日、釈迦が実家へ托鉢に訪れた際、浄飯王は「なぜ私を恥ずかしめるのか」と責めました。釈迦は「これは家系の定めである」と答え、王家ではなく諸仏の家系であることを説きました。これを聞いた浄飯王は預流果を得たと伝えられています。また、浄飯王の臨終の際には、釈迦がその床に座し、白い傘の下で静かに寝て応果を得たとされています。

『浄飯王般涅槃経』や『今昔物語集』には、浄飯王が病に倒れ、釈迦に会いたいと願ったため、釈迦がナンダ、ラーフラ、アーナンダを連れて見舞いに訪れ、浄飯王は息を引き取ったと記されています。浄飯王の棺は四天王が担ったと伝えられています。

浄飯王が亡くなったのは、釈迦が成道して5年目のことで、79歳または97歳であったとされています。

関連事項

釈迦族
摩耶夫人
摩訶波闍波提
孫陀羅難陀
浄飯寺

外部リンク

CBETA>佛說淨飯王般涅槃經

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