富沢賢治

富澤賢治についての詳細

富澤賢治（とみざわけんじ）は、1936年に埼玉県に生まれた経済学者で、専門分野は経済政策および経済史です。彼は一橋大学の名誉教授として知られ、経済研究所所長や日本協同組合学会会長などの要職も歴任しました。さらに、1980年代には日本におけるワーカーズコープ運動の普及にも貢献しました。彼の業績により福武直賞を受賞しています。

学歴と経歴

富澤は聖学院中学校・高等学校を卒業後、1958年に国際基督教大学を卒業しました。その後、聖学院中学校・高等学校で教諭を務め、国際基督教大学で助手としての経歴を積みました。1961年には一橋大学大学院社会学研究科に入学し、1966年には博士課程の単位を取得しました。指導教官である高島善哉からは青年ヘーゲル派に関する研究を勧められましたが、富澤は初期マルクスの研究を進めました。その成果をもとに、単位修得論文「初期マルクスの人間観」を提出しました。

1976年には『唯物史観と労働運動−マルクス・レーニンの「労働の社会化」論』という論文で一橋大学から社会学博士の称号を授与されています。1966年には一橋大学経済研究所の助手としてキャリアをスタートし、その後講師、助教授を経て教授に昇進しました。

1991年から1993年までの間、日本協同組合学会会長を務め、1992年から1994年にかけては一橋大学経済研究所の所長を務めます。1999年には一橋大学を退職し、聖学院大学の大学院で教授として新たなキャリアを開始しました。2000年には聖学院大学政治経済学部のコミュニティ政策学科長、2001年には特定非営利活動法人コミュニティ活動支援センターを立ち上げ事務局長に就任します。2012年に聖学院大学を退職しますが、彼の教育活動は多くの学生に影響を与えました。

研究活動と著作

富澤は1980年代に日本でワーカーズコープの運動を紹介し、国際協同組合同盟総会で国際研究集会の議長を務めたほか、協同総合研究所の副理事長としても活躍しました。1999年に出版した『社会的経済セクターの分析――民間非営利組織の理論と実践』は、特に注目され、福武直賞を受賞しました。

彼の著書は多岐にわたります。中でも1974年に発表された『唯物史観と労働運動−マルクス・レーニンの「労働の社会化」論』や、1980年の『労働と国家−イギリス労働組合会議史』は、特に評価されています。また、1987年の『労働と生活』（編著）や1996年の『労働者協同組合の新地平−社会的経済の現代的再生』なども多くの読者に支持されています。彼の業績は、経済政策の分野だけでなく、協同組織や非営利セクターの研究にも寄与しています。

教育的影響

富澤賢治は、多くの学生に影響を与えただけでなく、その指導を受けた学生の中には赤井正二（立命館大学名誉教授）や斉藤吉広（稚内北星学園大学学長）など、多くの著名な学者がいます。彼の教育理念と研究活動は、今なお日本の経済学の発展に寄与しています。

彼の業績は広範であり、経済政策や経済史を学ぶ上で非常に重要な人物であることは間違いありません。

もう一度検索