富田一白

富田 一白について

富田一白（とみた いっぱく、または かずのぶ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての著名な武将であり、大名としても知られています。彼は伊勢安濃津城の主であり、豊臣秀吉の側近として奉行衆の一員でした。多くの資料では、彼の諱として知信（とものぶ）、信広（のぶひろ）、長家（ながいえ）など、複数の名前が伝えられています。また、通説では「一白」は号であるとされながらも、実際には諱として扱われることもあります。隠居後は水西と称し、官途からは富田左近という名前でも知られています。

略歴

富田氏は宇多源氏の佐々木氏の一族に属し、同族の出雲守護京極氏の家臣であったとされています。「寛政重脩諸家譜」には、富田義泰という人物が家の祖であり、その後、富田城を築いたことが記載されています。一白の祖父、重知は尼子経久に富田城を追われ、京極氏と同様に別領域である近江国に逃れたとされています。

富田一白は近江国で生まれ、その本貫地は近江国浅井郡富田荘とされています。若い頃から織田信長に仕官し、天正元年（1573年）の長島一向一揆において、千種合戦で奮闘し17箇所に傷を負ったことから名を馳せました。

天正10年（1582年）に本能寺の変が起こった後、羽柴秀吉に仕官しました。その後、天正12年（1584年）には小牧・長久手の戦いで伊勢神戸城を防衛し、蟹江城合戦で滝川一益が逃げ込むのを拒否したことでも知られています。戦後、秀吉の外交使節として桑名城に派遣され、織田信雄との講和に関わったことで、名馬・星崎を授与されました。

続いて、徳川家への使者となり、浜松城で家康の次男・於義丸を秀吉の養子として連れ帰る任務をも果たしました。天正14年（1586年）には秀吉の妹朝日姫と徳川家康との縁組に際し、浜松城へと赴き、奉行として役割を果たしました。

その後も多くの戦役に従軍し、特に九州戦役や朝鮮出兵でも重要な役割を果たしました。文禄元年には秀吉本陣の前備衆として650名を率いて名護屋城に到着し、その後、海を渡っても名を馳せました。文禄4年には嫡男・信高に分知を行いながらも、出世を遂げます。

秀次切腹事件では、その影響を受け、伊達政宗を尋問する役割も担いました。戦後、伊勢安濃津城主として6万石（または5万石）に移封され、秀吉の信任を受ける存在となりました。

逸話

富田一白は茶道に造詣が深く、秀吉の茶会にも頻繁に招かれており、文化人としての側面が強いことでも知られています。彼は重要な外交の場面で使者として任命され、秀吉から厚い信任を受けていたと考えられています。また、秀吉の死後には彼の肖像を描かせ、文化財として所蔵されています。

なお、彼の死後の翌年に発生した関ヶ原の戦いでは、息子の信高が東軍に属したとされています。これは、彼と同じ近江衆の石田三成との不仲が影響したとも言われています。富田一白は、戦国時代の武将として周囲から高い評価を受け続けており、その業績は後世にまで影響を与えています。

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