富田町 (愛知県)

富田町（とみだちょう）

富田町は、かつて愛知県海部郡に存在した町です。現在の名古屋市中川区の西部に位置し、庄内川の西岸地域がおおよその範囲です。現在では、名古屋市中川区富田町としてその地名が一部に残っています。

沿革

1906年（明治39年）7月1日：海東郡万須田村、赤星村、戸田村、豊治村が合併し、海東郡富田村が新設されました。村役場は大字春田に置かれる予定でしたが、新築が間に合わず、当初は大字戸田に仮役場が設置されました。
1909年（明治42年）4月1日：大字戸田に富田高等小学校の仮校舎が開校しました。これにより、それまで蟹江高等小学校に通学していた富田村の児童の不便が解消されました。
1913年（大正2年）4月1日：海東郡と海西郡が合併して海部郡が設置されたため、住所表示が海東郡富田村から海部郡富田村に変更されました。
1944年（昭和19年）2月11日：富田村が町制を施行し、富田町が発足しました。
1952年（昭和27年）3月：名古屋市周辺の18町村長と名古屋市代表による親睦団体「名隣会」が創設されました。

名古屋市への編入問題

1953年（昭和28年）9月1日：町村合併促進法が公布されました。
1954年（昭和29年）
5月19日：富田町、南陽町、蟹江町の3町長、助役、議長らによる3町合併懇談会が開催されました。
6月7日：町村合併について、県の促進審議会で決定した合併試案（富田町・南陽町・蟹江町の3町合併）が通達されました。
8月24日：合併委員会と自治功労者との懇親会が開かれ、富田、南陽、蟹江の3町での合併を否定し、名古屋市への合併を進めることで合意されました。
9月16日：愛知県の県会調査委員会は、名古屋市過大化防止を決議し、県の試案であった富田町と蟹江南陽両町との合併を再度勧めました。
11月1日：富田町議会で名古屋市との合併賛成が議決されました。
1955年（昭和30年）
4月5日：県議会で富田町の名古屋市合併が否決されました。これに対し、富田町は内閣総理大臣に審査請求を行いました。
8月15日：緊急合併促進委員会が招集されました。隣村の大治村の合併反対議員代表が上京し、反対議員の署名捺印のある陳情書を自治庁などに提出、富田町などの合併を妨害したとの情報について対策が協議されました。
9月10日：内閣総理大臣によって処分発表が行われ、ラジオで富田町の名古屋市編入決定が伝えられました。
10月1日：南陽町、山田村、楠村と共に名古屋市に編入合併され、富田町は消滅しました。同時に中川区役所富田支所が設置されました。
1956年（昭和31年）4月1日：富田地区に市バス路線が新設されました（戸田小学校-栄間及び新家-名駅間）。
1974年（昭和49年）4月1日：富田支所の新庁舎が開庁されました。

廃止時の大字

江松（えまつ）
包里（かのさと）
供米田（くまいでん）
助光（すけみつ）
千音寺（せんのんじ）
長須賀（ながすか）
戸田（とだ）
富永（とみなが）
新家（にいえ）
服部（はっとり）
春田（はるた）
伏屋（ふしや）
前田（まえだ）
松下（まつした）
万場（まんば）
榎津（よのきづ）

出身有名人

横井庄一

廃止時点の交通機関

鉄道
近畿日本鉄道
名古屋線: 戸田駅 - 伏屋駅
※国鉄関西本線も通っていましたが、駅はありませんでした。
道路
一級国道1号
※当時、現在当地を南北に貫く国道302号（名古屋環状2号線）は、まだ開通していませんでした。

脚注

注釈

出典

関連項目

愛知県の廃止市町村一覧

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