富田秀貞

富田秀貞の生涯と業績

富田秀貞（とだ ひでさだ、生年不詳 - 1367年）は、南北朝時代に活躍した御家人であり、出雲国の守護職を歴任しました。彼は、月山富田城を拠点とし、豊富な歴史的背景を持つ人物です。彼の家族や子孫についても、際立った業績が見られます。

来歴

富田秀貞は、富田師泰の嫡男として生まれ、母は高岡宗泰の娘でした。彼は、父から月山富田城の城主の地位を受け継ぎ、出雲国の御家人として名を馳せました。元弘4年（1333年）の鎌倉幕府の滅亡後も、彼は富田庄の領主として室町幕府に従い、積極的に活動を続けました。

親族で出雲国の守護を担当していた塩冶高貞が1341年に討伐されると、その追討に功績を挙げた山名時氏が出雲守護職に任命されます。この際、秀貞は北朝側の有力な御家人として重用され、康永・貞和年間には美作国の守護職へと昇進しました。

1342年、秀貞は天龍寺の造営に参加し、足利尊氏・直義と共に上洛します。しかし、1343年には京極道誉が出雲守護職に任命され、道誉は目代として吉田厳覚を派遣しました。

観応の擾乱が起きると、秀貞は南朝側に転じ、出雲国の南朝の守護職に再任されました。この時期、彼は湯荘に築かれた城跡を改築して玉造城を建設しています。彼は、所領が没収されることを恐れ、1351年には仁多郡阿井郷を鰐淵寺南院に寄進しました。

その後、山名時氏が幕府から再び出雲守護職に任命されましたが、時氏は南朝に帰順し、富田秀貞を目代に任命します。彼は南朝の出雲守護として活動を続け、京極道誉たちと対立しました。

富田秀貞の晩年と功績

1354年、幕府は出雲守護職を京極道誉に戻し、秀貞の所領を道誉に与えることに決定します。このため、富田庄は一時的に守護領となりましたが、南朝側が安堵され、富田氏は幕府に所領を維持することができました。

秀貞は1362年、山名時氏の備後攻略に関与しましたが、1367年には出雲で討死しています。彼の死後、富田晃貞（弾正少弼）は『太平記』にその業績が記載されました。

子孫とその影響

富田秀貞の子供たちには富田直貞や富田直秀がいます。彼の子孫は、出雲を離れ、伊勢国安濃津城の城主となった富田一白や、宇和島藩の祖となった富田信高などを輩出しました。なお、富田信高は後に改易されましたが、子孫は水戸藩士として困難な時期を乗り越えました。

まとめ

富田秀貞は南北朝時代における重要な人物であり、彼の家族や子孫もまた、歴史の中で一定の地位を占めていました。出雲国における彼の影響は、時代を超えて受け継がれています。彼の業績は、今もなお、歴史の研究の対象として注目されています。

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