水内郡

水内郡（みのちぐん）とは

水内郡は、かつて信濃国（現在の長野県）に存在した郡です。その領域は、現在の長野市、中野市、飯山市、そして下水内[[郡]]栄村の一部にまたがる広大な地域を包括していました。この郡は、古代から中世、そして近代へと、その姿を変えながらも、信濃の歴史において重要な役割を果たしてきました。

古代の水内郡

古くは「みのちごおり」、または「みぬちごおり」と呼ばれていました。奈良時代後期には、全国から選ばれた9人の善行者の中に、信濃国から4人が選ばれ、そのうち刑部知麻呂と倉橋部真人の2人が水内郡の出身であったと『続日本紀』に記されています。彼らは、その善行によって朝廷から生涯の納税免除という恩恵を受けていました。

平安時代には、『延喜式』や『和名類聚抄』にも水内郡の名が見られ、郡内には芋井、太田、芹田、尾張、大島、古野、赤生、中島の8つの郷が存在したことが記録されています。郡衙（郡の役所）は、現在の長野市南長野の県町遺跡に比定されています。

戦国時代の水内郡

戦国時代になると、水内郡は越後国の上杉氏に属する葛山氏の勢力下にありました。しかし、甲斐国の武田氏は、越後上杉氏との川中島の戦いにおいて、葛山氏への調略を進めました。弘治4年（1558年）には、上水内[[郡]]中条村の柏鉢城に武田氏の支配拠点が置かれ、大日方主税助、室住虎定、水上六郎兵衛、箕輪衆、坂西氏などが配置されました。

武田氏は、永禄9年（1566年）頃から判物から奉書式朱印状に切り替えていますが、水内郡における武田氏の支配においては、奉書式朱印状の奉者の多くを武田信玄の側近であった跡部勝資が務めていたと考えられています。

近代以降の水内郡

明治維新後、水内郡は行政区画の大きな変革を経験しました。明治初年の「旧高旧領取調帳」によると、郡内には幕府領、松代藩、飯山藩、越後椎谷藩の領地が混在していました。

慶応4年（1868年）には、幕府領の一部が名古屋藩の管轄となり、その後、伊那県、中野県を経て、最終的に長野県の管轄となりました。廃藩置県により、各藩の領地も松代県、飯山県、椎谷県を経て、長野県に統合されました。

明治12年（1879年）には、郡区町村編制法の施行により、水内郡は上水内[[郡]]と下水内[[郡]]に分割され、行政区画としての水内郡は消滅しました。上水内[[郡]]は長野町など3町101村から、下水内[[郡]]は飯山町など1町18村から構成されました。

現在の水内郡

水内郡は行政区画としては存在しませんが、その名は長野県の歴史を語る上で重要な意味を持っています。旧水内郡の地域は、現在では長野地域（旧上水内[[郡]]）と北信地域（旧下水内[[郡]]）に分かれ、それぞれが独自の歴史と文化を育んでいます。

参考文献

• - 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 20 長野県』角川書店、1990年
• - 旧高旧領取調帳データベース

関連項目

• - 長野地域（旧上水内[[郡]]）
• - 北信地域（旧下水内[[郡]]）

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