対格言語

対格言語とは

対格言語とは、言語類型論における格体系の一つで、自動詞の主語と他動詞の主語を同じように扱い、他動詞の目的語のみ異なる扱いをする言語を指します。

概要

日本語を例に見てみましょう。「太郎が走る」という文では「太郎が」が自動詞の主語、「太郎がリンゴを食べる」という文では「太郎が」が他動詞の主語、「リンゴを」が他動詞の目的語です。

このように、自動詞の主語と他動詞の主語が同じ助詞（この場合は「が」）で示される場合、その格を主格と呼びます。一方、他動詞の目的語の格（この場合は「を」）を対格と呼びます。主格と対格を持つ格体系は主格・対格型、または対格型の言語と呼ばれます。

能格言語との違い

対格言語と対照的な格体系を持つのが能格言語です。能格言語では、自動詞の主語と他動詞の目的語が同じように扱われ、他動詞の主語のみ異なる扱いを受けます。

オーストラリアのジルバル語を例に挙げると、自動詞の主語と他動詞の目的語には何も標識が付かず、他動詞の主語にのみ `ŋgu` という標識が付与されます。この場合、自動詞の主語と他動詞の目的語の格を絶対格、他動詞の主語の格を能格と呼びます。能格と絶対格を持つ格体系は絶対格・能格型、または能格型と呼ばれます。

対格言語の例

対格型の格体系を持つ言語は、世界中に広く分布しています。

インド・ヨーロッパ語族
アルタイ諸語
ウラル語族
日本語

これらの言語では、文中の名詞や名詞句が対格性に基づいて標示されています。

まとめ

対格言語は、自動詞の主語と他動詞の主語を同じように扱うという特徴を持つ言語です。この格体系は、世界の様々な言語に見られ、言語の多様性を示す一例と言えるでしょう。

参考文献

Dixon, R. M. W. (1994), Ergativity, Cambridge: Cambridge University Press

関連項目

言語類型論
格
能格言語
* 活格言語

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