寿能城

寿能城について

寿能城（じゅのうじょう）は、埼玉県さいたま市大宮区にかつて存在した日本の城であり、現在は県指定の旧跡です。この城は、1560年頃に岩槻（岩付）太田氏の支城として建設されました。初代城主は、岩付城主であった太田資正の子息、潮田資忠です。寿能城は見沼の対岸に位置し、氷川神社を後ろに抱える形で、大宮台地のほぼ中央に築かれました。かつては北と南の両側に見沼の入江があり、水に囲まれた城であったと伝えられています。

歴史的背景

太田資正の嫡男、氏資は後北条氏に属して岩付城主となり、それに伴い寿能城も後北条方の城となりました。天正18年（1590年）、豊臣秀吉による小田原征伐の際に、城主の潮田資忠とその子資勝は小田原城に籠城し、戦死します。また、岩付城や寿能城も豊臣方の浅野長政軍に攻められて落城し、その際には家来やその家族が見沼に身を投げたとされることから、蛍になった姫の話が村人に伝わるようになりました。このような悲劇的な歴史を持つ寿能城は、後に廃城となりました。

その後、徳川家康の治世下でこの地域が開発される際、寿能城はほとんど破壊されました。ただし、徳川に従った資忠の子孫、古河藩家老の潮田資方が1738年に資忠の墓碑を城跡に建立しています。

近代の変遷

1926年には埼玉県の史跡として指定されましたが、第二次世界大戦中には城址に高射砲が設置され、この遺構の破壊が進行しました。当初、高射砲は大宮公園陸上競技場に設置される予定でしたが、反対意見により城址に設置されることになったとされています。戦後は城址のほとんどが市街化し、1958年に墓碑を中心とした約0.387ヘクタールの「寿能公園」として整備され、同年には開園式が行われましたが、城址の面影はすでに失われていました。また、1962年には史跡から旧跡に指定変更されています。

周辺情報

寿能城の周辺には、縄文時代の遺跡である寿能遺跡が存在し、泥炭層からは多くの土器、石器、土偶、漆器などの遺物が発見されています。これらはこの地域の古代の文化や暮らしを知る手がかりとなっています。

参考文献

• - 『大宮のむかしといま』大宮市、1980年。

寿能城は、その歴史と共に地域の文化や伝説を育んできた場所であり、訪れることで日本の城の歴史の一端を感じられることでしょう。

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