将校及び紳士に相応しくない行為

将校及び紳士に相応しくない行為

「将校及び紳士に相応しくない行為」（Conduct unbecoming an officer and a gentleman）とは、一部の国の軍法において定められている犯罪です。しばしば「相応しくない行為（conduct unbecoming）」と略されます。

この犯罪は主に将校（士官）を対象としており、士官候補生が含まれる場合もあります。有罪となった場合、軍人としては最も重い処罰の一つである不名誉除隊となる可能性があります。

各国の事例

イギリス

このフレーズは、18世紀から19世紀初頭にかけてイギリス軍の軍法会議において罪状として用いられていましたが、具体的な犯罪行為として条文で定義されていたわけではありませんでした。

例えば、1813年に軍法会議にかけられたサー・ジェイ・イーマー大佐の事例では、「同連隊に所属するB・V・サイムズ大尉に対し、将校や紳士としてあるまじき、疚しく恥ずべき行為を働いた」とされています。

その後、1860年8月10日に制定された英国海軍規律法で初めて成文化され、条文に明記されました。

アメリカ

アメリカ軍においては、合衆国法典第10編中の米国軍法典（UCMJ）の懲罰規定第133条（10 U.S. Code §933 - Art.133）で定義されています。

構成要件

アメリカにおける構成要件は以下の通りです。

1. 被告人がある行為をした、またはしなかった（不作為）こと
2. 特定の状況下において、その行為または不作為が、将校及び紳士にふさわしくない行為であること

ここでいう将校（士官）には、性別に関わらず、広く将校や士官候補生が含まれると解釈されています。そのため、「ふさわしくない行為（conduct unbecoming）」というより一般的な言葉が用いられています。

紳士には、不誠実な行為、下品な態度、違法行為、不当な取引、非礼な言動、不正行為、残虐行為を避ける義務があるとされています。

事例

過去の事例として、チェルミス・ロープウェイ切断事件では、機体に搭載されていたビデオカメラのテープを破棄したことが、軍法会議で司法妨害とみなされました。その結果、被告人は「将校及び紳士に相応しくない行為」により不名誉除隊となりました。

関連項目

* 軍旗の陰影 - 1975年の映画。原題が『conduct unbecoming』。

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