将軍山古墳

将軍山古墳

将軍山古墳は、埼玉県行田市埼玉に所在する古墳時代後期の前方後円墳です。埼玉古墳群を構成する古墳の一つとして、国の特別史跡に指定されています。墳丘長は90メートル、後円部の直径は約38.8メートル、高さ約8.4メートル、前方部の幅は約63.6メートル、高さ約9.4メートルと復元されています。二重の方形の周濠をもち、埼玉県下で8番目の規模を誇ります。

特徴

墳形は千葉県富津市の稲荷山古墳に類似しており、石室に使われた石材とともに、埼玉古墳群を築いた武蔵国造と内裏塚[[古墳群]]を築いた須恵国造との間に密接な関係があったことを示唆しています。築造時期は古墳時代後期の6世紀末と考えられています。

1894年、地元住民により後円部が発掘され、横穴式石室が発見されました。石室の天井には秩父青石（緑泥片岩）、側壁には房州石が使用されており、その石材から当時の技術や交流範囲が窺えます。この発掘調査では、馬具や武器、武具、須恵器など、数多くの副葬品が出土しました。中でも馬冑の出土は、日本では紀伊大谷古墳に次ぐ2例目であり、非常に貴重です。

前方部からは木棺を直接埋葬した墓壙が確認されましたが、副葬品は168個のガラス玉のみでした。このことから、前方部に埋葬された人物は、後円部に埋葬された人物と血縁関係にある女性であると考えられています。

しかし、明治時代以降の干拓による埋め立てや風雨の影響で、古墳は大きく損壊していました。そのため、1991年から1996年にかけて発掘調査と修復作業が行われ、現在では墳丘や周濠が復元されています。前方部、後円部、造出には、埴輪などの副葬品の復元模型が設置されています。

副葬品

発掘調査により出土した主な副葬品は以下の通りです。

倭製乳文鏡
金平玉
銀丸玉
金勾玉
挂甲
八角稜鈴
環頭大刀
金環
銀装大刀
鉄矛
鉄斧
舌付銅鈴
石製盤
耳環
大刀
馬冑
* 蛇行状鉄器


これらの副葬品は、当時の権力者や社会構造を理解する上で重要な資料となっています。

将軍山古墳展示館

古墳の東麓には、1997年4月に開館した「将軍山古墳展示館」があります。展示館では、出土品の展示や古墳の内部構造に関する解説などが行われており、古墳についてより深く学ぶことができます。

まとめ

将軍山古墳は、古墳時代後期の武蔵国の有力者の墓であり、当時の政治・文化を知る上で重要な遺跡です。貴重な副葬品や復元された古墳の姿を通して、古代の歴史に触れることができるでしょう。

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