小侍所

小侍所（こさむらいどころ）

鎌倉幕府および室町幕府において、将軍に召し抱えられた小侍所は、将軍の身辺警護や宿直を統括する重要な機関でした。機関そのものは、特に承久元年（1219年）の源実朝の暗殺を受けて、新しい将軍である九条三寅（後の頼経）の警備を目的に設立されました。その成立は、武士たちの運命に大きな影響を及ぼす事象として歴史に記されています。

設立の背景

小侍所は、初代別当として北条重時を迎え、将軍の即位とその御所の安全を保障する役割を担い始めました。特に鎌倉幕府では、北条氏の有力者が別当に任命され、彼の下には多くの役職が配置されました。日々の業務においては、「番帳」と呼ばれる記録を元に、宿直や将軍の警護のための侍たちが選出され、効率的に組織されました。

また、この小侍所に選ばれることは、特権的かつ名誉なことであり、選考基準においては、御家人の家柄や、弓馬や蹴鞠、管弦といった技能が重視されました。つまり、武士としての誇りや資質が求められたのです。特に大名家の血筋や、武道の技量を有する者が選ばれやすい傾向にありました。

陰陽師の存在

小侍所には特異な存在として陰陽師たちが配属されることもありました。これは、源実朝暗殺の際に実朝に仕える陰陽師たちが職を追われたことを受けて、彼らが小侍所の一員として再び役割を担うことになった事例です。特に安倍泰貞、安倍親職、安倍宣賢の3名は、鎌倉幕府を支えるために陰陽道に則った儀式を行い、その活動は後に関東の陰陽師の基盤となりました。

室町幕府における小侍所

室町幕府における小侍所も、基本的には鎌倉時代と類似の役割を果たしていたと考えられています。しかし、鎌倉幕府のような別当や所司といった明確な役職の区分が無く、単に「小侍所」と呼ばれるようになりました。これは、組織そのものがシンプルになり、実務の効率が高められたこととも考えられます。

重要な任命者

小侍所には、多くの有力大名が任命され、その中には足利氏との関係が深い人物が多かったことも特徴の一つです。例えば、大高重成や吉良氏家、細川顕氏など、名だたる武士たちがその権限を振るいました。また、これらの任命は、組織が将軍のために強力な権限を持つことを示すものでありました。

結論

小侍所は、鎌倉幕府と室町幕府の両時代にわたって、将軍の安全と監視を担ってきた重要な機関であり、武士たちにとっての名誉であると同時に、複雑な組織運営が求められる場でもありました。この機関の存在は、時代の動きや政治情勢に大きな影響を与え続けたのです。歴史の中での小侍所の役割は、武士社会がどのように発展してきたのかを理解する上でも欠かせないものと言えるでしょう。

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